ツクツクボーシさんの映画レビュー・感想・評価

ツクツクボーシ

ツクツクボーシ

勝利への脱出(1980年製作の映画)

3.5

絶妙な午後ロー感。やはりどうしてもチラついてしまう「大脱出」。そこは脱獄モノに連合軍vsナチスドイツなサッカーの親善試合をマッチアップすることで独自性をアピールするのだが、試合の端折り方が「ロッキー」>>続きを読む

スーパー・マグナム(1985年製作の映画)

3.8

意外に良くできた佳作。もっと大味だとばかり思ってたよ。いくら相手が悪人でもいきなりフリーハンドに人が殺せるわけがないため、警察の黙認と協働で戦う流れ。自警団的な考えが強く、そして集団戦(というか戦争)>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

いかにもゴダールなタイトル表示に長ーい長い長回しで始まる導入。かったるいことこの上ないが、それだけ大事というわけである。心の中のうさみちゃん(「ギャグマンガ日和」)が早く人死なないかなと言っている。>>続きを読む

社葬(1989年製作の映画)

3.8

YouTubeにて期間限定公開中。

当時の名優と後の名優がなんとも豪華な布陣。会社(aka猿山)の権力争いを戦い抜く。取締役会での多数派工作に始まり、アクシデント(腹上死)からの予想もつかない展開が
>>続きを読む

ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

4.0

ほとんどホラー。精神の均衡を失った女性作家の話…といって夢と現実がシームレスに繫がっているため彼女の主観を追体験する映画になっている。タイトル通りイメージの跳び方が面白い。ジョン・ウィリアムズの音楽も>>続きを読む

ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.8

怪獣プロレスとしては満点。ピラミッドだろうが、ローマだろうがぶっ壊す。この破壊の熱量物量はハリウッド以外では到底真似できないな。カメラワークもアクションもノリノリにご機嫌。人がゴミのようだ。

話も世
>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.0

後編見ないとまだなんとも言いかねる作品。「スパイダーバース」と同様ですが。

クオリティ高い作画と語り口は快調で、下ネタトークも不思議ちゃんも自然な仕上がり。一見このまま温かくユルい青春終末テイストで
>>続きを読む

ジョン・ウィック:チャプター2(2016年製作の映画)

4.0

いかにもな続編展開(前作のバカ息子の叔父登場)は冒頭でサクッと片付けて、誓印をめぐる本題へ…というクレバーさ。車を敵にぶつける危険なワンカットどうやって撮ってるんだろと思ってたら4作目にもある階段落ち>>続きを読む

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)

3.8

続編の3と4だけ劇場観賞して何故か見ていなかったのだが、ようやく午後ローにて。シリーズ化するのも頷ける良くできたバイオレンスアクション。

続編も凄いが本作も大概体張りすぎ。カンが戻ってないと言いつつ
>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

こんなにも腹立たしい、充実した作品も珍しい。(自分にとって)本当に面白かったと言えるハリウッド映画は何年ぶりだろうか。

群像劇にして会話劇。人物フラッシュバックなど端々にわかりやすさを意図した設計配
>>続きを読む

ニックス・ムービー/水上の稲妻(1980年製作の映画)

3.5

死期の近い闘病中のニコラス・レイを撮るヴェンダース。自身も登場する半ドキュメンタリーなので撮る言い訳をしつつ演出(嘘)の中に幾許かの真実も含んでいるだろうという感じ。冒頭悪態つきながら目覚まし時計のア>>続きを読む

100万人の娘たち(1963年製作の映画)

3.8

職業人としての女性を画面上でフィーチャーしたメロドラマ。悪人がいないので、男と女が握手して爽やかな交歓で終わる。故人の心情を代弁する笠智衆の存在が何気にMVP級。見え見えな展開、嘘臭さ都合良さを辛うじ>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

前作の絵的なハッタリ満載、壮大な序章といった作風が好きだったので、アクションよりな本作は個人的にはガジェット的にもちょっと物足りなく感じた。まあ音楽が大体前作と同じになるのは当然の流れではあるのですが>>続きを読む

祖国の人々(1915年製作の映画)

3.2

ギトリの語りがまあ長いこと長いこと。ただ机の上で原稿読んでるだけなのにどんだけあるねん。ただロダンやモネらの実際の映像が見られるのが本作の売り。

私の父は正しかった(1936年製作の映画)

3.6

饒舌自演なギトリ劇ならぬギトリ映画との相性の悪さは嫌というほど痛感させられる。ギトリの父の今なら炎上必至な発言はある意味エゴの発露としては健康的で喰えない感じ。

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.6

スヌープ(犬)可愛い。中身は金払って夫婦間のドロドロな詰り合いを観るという…なんともやりきれない感じ。話の結末は早くから予想がつくもので、サンドラの行動は徹頭徹尾不快度数が高い。(どう感じるかは個人差>>続きを読む

ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

3.6

なんという観客に優しく見やすいゴダール。(上映時間20分)そして相変わらずわけわからん。今回も怖いものみたさの欲求に勝てなかった。見世物としてはゴタール肉声入りの遺言映画で特別料金1000円もまずまず>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.8

なんとも嫌〜な感じがツボなショートコント集(?)3時間。シーンの飛び方切り替わり方!これが荒唐無稽の原因なわけですが…まあ正直分からん。母親との関係での微に入り細を穿つネチネチした問い詰め方と裁判(?>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.0

youtubeにて。(無料公開期間)「12モンキーズ」の元ネタとしても有名。スライドショーに詩的なモノローグと説明が入る。勿論ギリアムの方も傑作だが、こちらの味わいも他に代え難い。過去見た自分の夢に囚>>続きを読む

この空のある限り(1964年製作の映画)

3.6

鰐淵晴子の魅力。なんとまあ目鼻立ちバッチリ美少女。話はそんなに…でも大層若い田村正和やこの頃から不変すぎる森光子がお母さん役など見所あり。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

お世辞にもカタギの皆様にオススメできるエンタメ映画では決してないが、エリセのファンには感涙モノの一編。久々のヨーロッパ映画でそのゆったりとしたペースに合わせるのに正直苦労した。

記憶を失った俳優をめ
>>続きを読む

「鬼滅の刃」絆の奇跡、そして柱稽古へ(2024年製作の映画)

4.0

どうやってもこの次ドラマ的に盛り上がるのは確実な展開の前座であり顔見世的な意味合いも強い柱稽古編。それは末端の隊士にとってもそうなのだ。

そしてこうきたか…という脚色で導入は怒涛のアクション。改めて
>>続きを読む

インクレディブル・ハルク(2008年製作の映画)

3.7

音波砲のエフェクトがそこはかとなくダサい。ありがちなストーリーもエドワード・ノートンのシリアスな演技力とアクションでみせる。伸び伸びパンツネタはやるんだな。
洞窟の天丼に頭ぶつけて痛っ!て銃弾の雨あら
>>続きを読む

ズートピア(2016年製作の映画)

4.0

続編がアリな感じのラストだが、果たして現在のディズニーにこのレベルのモノ作れるかというと大変に疑わしい。

正義に燃える心と砂を噛むような現実。綺麗事だけでは思うようにいかない理想郷ズートピアの内実を
>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.5

悪い悪い低俗萌えアニメと同レベルに欲望に忠実なご都合主義フェミニズムファンタジーを、巨匠となったヨルゴス・ランティモスが豪華でセンスあるビジュアルと行き届いた演出で映画化。前作「女王陛下のお気に入り」>>続きを読む

ベスト・キッド(2010年製作の映画)

3.7

王道でセオリー通りの流れの作り方。二人にとっての喪失体験。過去を明かす部分は正直ちょっと語りすぎだと思うが、ジャッキーの何がありそうだけど普通のおじさん感な存在感が凄く良い。まあ、ドニ君(ジェイデン・>>続きを読む

もののけ姫(1997年製作の映画)

4.2

今月末閉館する吉祥寺プラザにて。

劇場観賞はリアルタイム以来。当時の衝撃を思い出すなど。自然と人間の営みの相克というテーマ的には何にも解決せず、自分のはらわたさらけ出すような作風。これを作りながら話
>>続きを読む

トラック野郎 故郷特急便(1979年製作の映画)

3.5

マンネリなようで、最終作に相応しい幕切れ。痩せ我慢の心意気でしめる「無法松の一生」な結末は日本の男の一つの典型として後世に残したいものである。

自己犠牲が報われるのもフィクションならではの醍醐味。

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

つまりどゆこと?

中盤以降の演出は母と父の言うどちらが真実か?嘘つきか?宙吊りにしてサスペンスを不十分ながら(父親の登場が少なすぎ問題)醸成するのだが、明後日の方向にぶん投げたラストショットはなんの
>>続きを読む

カムイ外伝(2009年製作の映画)

1.5

開始3分で解散。壊滅的に何もかも酷い。ます単純に見るに耐えないルックス。映画らしい空気感を捕まえようともしない無策なカラーグレーディング。今時の素人のほうが数段上手く作るだろう。酷いCGとワイヤーアク>>続きを読む

メアリと魔女の花(2017年製作の映画)

3.5

絵は凄く良い。ジブリっぽくてもジブリではないディテールとキャラデザがあちこちで新鮮。ただ、どういうわけかあまり面白くない…。新入学したエンドア大学であれよあれよと天才魔女として持上げられていくのだが、>>続きを読む

源氏物語(1987年製作の映画)

3.8

神保町シアターにて。

比較するなら押井守の「天使のたまご」。豪華な布陣でおくるバブル前夜の芸術的アニメーション。細野さんの音楽が凄く良い。想像上の平安時代という感じな電子音楽。

緩やかなペースです
>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

平山が手に取る本がフォークナー、幸田文ときてパトリシア・ハイスミスというチョイス。製作にはローソンやらユニクロやらなんか大きいとこが絡んでいるがまあ一旦それらは忘れよう。

スマホ持ってないトイレ掃除
>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.3

風俗考証の細部にディープに拘った戦前戦中描写、一人一人モブの芝居までその時代「らしさ」が匂い立つ傑作。もはや実写を超えたリッチな再現度。それでいてちゃんとトモエ学園の子どもたちと小林先生の話になってい>>続きを読む

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

3.7

イマジナリーフレンド第二の人生みたいな映画。想像力や想像の友達に未来があるかというと…ある時もあるかもという感じなのでどっちかというと彼らが死や無に還ることを受け入れる準備の話に見える。どうしても「ト>>続きを読む

プリンセスと魔法のキス(2009年製作の映画)

3.6

2Dアニメはやはり良いな。今ほど政治的に先鋭化してなかった頃ということもあって、単純に楽しませようという趣向が盛り沢山。ニューオリンズが舞台なので音楽もジャズ!可愛らしいストーリーだけど、良くも悪くも>>続きを読む

>|