あるぱか2世さんの映画レビュー・感想・評価

あるぱか2世

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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.1

【奴は何者だ?】

まぁ痛快、豪快だのなんので、映画としての総合力の高さを感じさせる一作。
マカロニウエスタンへのリスペクトもさることながら、日本の古き良き時代劇っぽさもしっかりと感じさせてくる。
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ブラック・スワン(2010年製作の映画)

3.8

【パーフェクトブラック、誕生】

日本的な猥雑さを含みに含んだ『パーフェクトブルー』から、そのアングラ感を拭い取り、代わりに「ステージ」というゴールを明快に設定した、いわばハリウッドならではのリメイク
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

3.8

いまや日本を代表する映画と言ってもよいと思う。

虚実入り混じるストーリーと演出技法は、いまなお多くの人を惹きつけ続ける。
そして単なるサスペンス、スリラーを超えて、ものすごく猥雑な雰囲気を漂わせる。
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ゲット スマート(2008年製作の映画)

3.5

謎に豪華キャスト、謎に話が壮大というおふざけスパイアクションムービー。

とにもかくにもアン・ハサウェイ、アン・ハサウェイさまさまである。彼女の真剣な演技とお手本のようなセクシーなスパイ像のおかげで、
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お嬢さん(2016年製作の映画)

4.0

サスペンス?ホラ-?スリラー?
いえ、純愛映画です
※ただしR18だけど

日本統治時代の韓国を舞台に、最低ドクズの変態野郎を欺こうとする「お嬢さん」を描く。

めちゃめちゃグロいのかと思っていたけど
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

4.0

ようこそ、悪夢小路へ。

いわば「逆グレイテスト・ショーマン」といったような映画。
デルトロ監督らしくダークでバイオレンスな物語。クリーチャーはごく一部の例外を除き登場しないけれど、まるで人間こそが一
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12人の優しい日本人(1991年製作の映画)

3.5

【彼らはたしかに優しかった】

三谷幸喜の戯曲を映画化した一作。
梶原善さんや相島一之さんなど、今でも三谷作品でおなじみの面々がいるのも楽しい。

その名の通り、『十二人の怒れる男』の丁寧なオマージュ
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小さいおうち(2013年製作の映画)

3.7

松たか子、戦時中にあらわる。

黒木華さんがベルリン国際映画祭で受賞したことで知られている本作。しかし、正直なところ黒木華さんよりも松たか子さんの演技に圧倒される。

とにかく主人公・時子の艶っぽさ、
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永遠の僕たち(2011年製作の映画)

3.9

死が「そこ」にあるふたりの恋。

恋愛と「死」は使い古された取り合わせだけど、本作はそこに幽霊の友人という奇妙な存在が加わり、とてもユニークな映画になっている。

その「友人」とは、まさかの第二次大戦
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フォロウィング 25周年/HDレストア版(1998年製作の映画)

3.4

な、なんだったんだ?

と誰もが思ってしまいそうな、時系列と企みがこんがらがる不思議な映画。

めちゃくちゃに低予算なのが手に取るようにわかるけど、この頃からすでに時系列いじくりまくるノーラン節は健在
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

3.8

まるで教科書のような映画。

映画史に残る大名作がついにPrime Videoに登場ということで、初めて鑑賞。

本当にひとつひとつの描写にムダがなく、テンポ良く進んでいく。
一種の逆転劇としても、社
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グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)

3.6

【漢江のゴジラ】

韓国の飛躍的な経済成長は「漢江の奇跡」とも呼ばれるなど、漢江はいわば韓国という国家の目撃者といえるかもしれない。

そんな漢江が生み出したモンスターを描いた本作は、一筋縄ではいかな
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コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

3.6

【あ、やっぱり生きねば】
という主人公のつぶやきが聞こえてきそうな映画。

生への執着は死を意識することによって強まるというのは、言ってしまえばごく当たり前のことに思えるかもしれない。
本作は、そんな
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スノーデン(2016年製作の映画)

3.6

その男、スノーデン。

アメリカ政府のやってきた秘密工作を淡々と描いていく展開かと思いきや、人間としてのスノーデンの苦悩、恋人との関係といった描写に力点が置かれていたのが印象的だった。

ただまぁ…ち
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スウィート17モンスター(2016年製作の映画)

3.9

【君はイヤな女、みんな言ってる】
これは劇中、主人公の友人の住む豪邸のプールで流れる謎の音楽の歌詞だ。

「手短に済ませるわね これから自殺する」
と、教師に謎の相談を持ちかけるという強烈なシチュエー
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ゆれる(2006年製作の映画)

3.6

真実も、感情も、兄弟関係も、そして橋も。
本作に描かれるものは、すべてがどこか「ゆれている」。

たしかに世の中、人が見たもの聞いたものだけでなく、人間関係なんてものは確実であるとは言い難く、必ずどこ
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ユンヒへ(2019年製作の映画)

3.7

小樽の冬は長く、雪の終わりが見えない。


われわれ日本人からすれば、そんな雪国の冬の光景はネガティブなイメージばかり抱いてしまうけれど、どうやら韓国ではそうではないらしい。

韓国で最も人気のある日
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トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(2015年製作の映画)

3.7

映画史を代表する脚本家の苦難を通じて、ハリウッドの黒歴史ともいえる赤狩りの現実の一端を描き出した一作。

あの『ローマの休日』の脚本が、本人名義で書くことができないトランボに友人が名前を貸したものだと
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スーパーの女(1996年製作の映画)

3.7

【スーパーって、何だ!?】

そんな考えたこともないような根源的な問いを考えたくなるような、超熱血スーパー立て直し物語。

時は平成、バブルもはじけて久しいなか、主婦のつましい節約術によってたくさんの
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マルサの女2(1988年製作の映画)

3.6

時は昭和、景気はバブル、再び。

前作で黒幕的なポジションだった大物政治家・漆原の影がちらつく謎の宗教家・鬼沢(演:三國連太郎さん)との攻防が描かれる。

権藤(演:山崎努さん)ひとりがあれこれ指示し
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マルサの女(1987年製作の映画)

4.1

時は昭和、景気はバブル。

言わずと知れたあの音楽でおなじみ、伊丹十三の代表作。
冒頭からいきなり看護師の乳房を吸うおじいさんの映像から始まる。
もはやこれは本作の方針を示す所信表明のようなもので、そ
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レクイエム・フォー・ドリーム(2000年製作の映画)

4.0

「夢の終わり」を見せつけてくる映画。

最初から最後まですべてが不穏なので、観ているこっちが体調悪くなりそう。

VFXに頼らずにカメラワークと早回しの技巧だけで表現した狂気は、低予算だからこそ成し得
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モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

4.2

【全力で押し通りまする!】※

まさかの南北共闘、まさかの実話。

舞台は西アフリカ、ソマリアの首都・モガディシュ。あの北朝鮮が国家としてまともに見えてくるレベルで、序盤こそ国家の腐敗がコミカルチック
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.2

この監督、やりたいことが多すぎるのかも。

1冊の雑誌を丸ごと映像化した奇作、『フレンチ・ディスパッチ〜』から早いもので1年と少し。
今作は架空の街をめぐる物語をめぐる作家をめぐる…という入れ子構造の
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.9

【R18のバービー】

これまで、男たちの身勝手に翻弄され、蹂躙される女性像を描き、その不条理を告発する映画は何度も作られてきた。

しかし本作は似ているようでちょっと違う。
それは主人公・ベラが、欲
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

3.5

ロードムービーの名作中の名作。

ヴィム・ヴェンダースの代名詞と言ってもよい本作は、主要登場人物が一族のみという、きわめてミクロな物語が特徴。

そのミクロへの視点は、最新作『PERFECT DAYS
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

3.8

みんな大好き新時代SFの決定版。

といっても気がつけばもう公開から6年も経ってるのか…
まるで自分もVRの世界に放り込まれたのかってくらい時間が経つのが早く感じる……。

それはさておき。
バック・
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彼とわたしの漂流日記(2009年製作の映画)

3.8

観た人誰もがきっとジャージャー麺を食べたくなる、至高のジャージャー麺ムービー。

もはやこれは発想の勝利としか言えない設定とシナリオ。他国でリメイクされていてもおかしくない。

ソウルのど真ん中の中洲
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バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(1990年製作の映画)

3.9

【人間の未来はすべて白紙だっていうことさ!】

前後編で製作されたうちの後編にあたる本作。
PART2と3は、もともと一本の映画として計画されていたからか、本作は起承転結というより、いきなり承から始ま
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バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2(1989年製作の映画)

4.1

史上最強のPART2と言っても過言ではなさそう。

4年の月日が経って製作されたとは思えないほどスムーズな展開に驚かされる。
主要キャストの一部が降板したにもかかわらず、違和感がほとんどないのもすごい
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バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年製作の映画)

4.2

みんな大好きSFムービーの金字塔。

1985年の映画とは思えないクオリティに加え、無駄のない洗練された展開はもはや芸術の域。

気づいたらクライマックスになっていて、心地よささえ感じられる。

あと
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あん(2015年製作の映画)

4.0

舞台は、東京・東村山にある久米川駅周辺。
近郊ならではの風景に季節の訪れを告げる木々の色が美しい。

私も以前、本作の舞台になっているとはつゆ知らず、久米川駅付近を車で通りかかったときにすごく穏やかで
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ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

4.2

【ヘーデスタ島の亡霊】

ものすごく暗くて凄惨な話だと勝手に思っていたので、なんとなく敬遠してきたけど、辰年(?)つながりで一念発起して観てみることにした。

ダークでバイオレンスなミステリーと見せか
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.6

東京とは、光と影の都なのかもしれない。

巨匠ヴィム・ヴェンダースが、東京をこんなにも愛のある描写で表現してくれたことにまず感謝。感謝しかない。

東京が日常にあるわれわれでは気づきようもないような、
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.9

彼女は、いつも何かにキレている。

やさぐれ系青春ムービーの名作。
劇中で起きるトラブルの大半は主人公イーニドの行動に起因しているようなものなので、冷静に観てると少しずつイライラしてくる気もしなくはな
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セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

3.7

ゆ、夢の香り…??

アルパチーノの名演が光り、根強いファンも多い感動作。

タイトルだけ見てもっとフワッとしてる映画かと勝手に思っていたけど、意外としっかり少年と盲目の老兵の交流を描いていた。

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