リミナ

Serial experiments lainのリミナのレビュー・感想・評価

Serial experiments lain(1998年製作のアニメ)
3.8
虚構と現実、記憶と記録、徐々に入り混じり境界が曖昧となっていく世界で存在する己とは一体誰なのか。
90年代を代表するカルトアニメの一つ。

携帯電話が一般家庭でも普及し始めた年代の作品だが、仮想現実で起こる描写には現実未を帯びたものもあり、時代を先取りしていたことが窺える。

映像面では、90年代ならでは画面の質感が作風に溶け込んでいて終始漂う不穏さを増長。
加えて時折実写映像を織り混ぜるのも作品に合ったアプローチと言える。
本作はキャラクターデザインが岸田隆宏氏でいて作監や原画を務める回もあり、派手な動きは少なかれど引き込まれる作画のシーンも多し。
他には導入部をはじめとして、同じカットを複数話数に渡って使われるが、画面の色味や解像度、セリフや劇伴を変えることで違う印象を与える見せ方に。

音楽面も印象的で、ノイズが乗った浮遊感のあるものや歪んだギターサウンドが前面に出た無機質な劇伴が頭に残る。
そうしてずっと陰湿だった末の最終話で、物語の展開や画面に合わせて曲調が明るい挿入歌を持ってくるのも面白い。

お気に入り話数:5、8

個人的にトラウマになりそうな描写がありそうだなぁと何となく観るのを避けていたが、実際はそこまで強烈なものはなかった。
エンターテイメント性を求める人には薦めづらい作品だが、時代性を汲んだ作品の流れを追う上では今でも一見の価値アリ。
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