リミナ

妄想代理人のリミナのレビュー・感想・評価

妄想代理人(2004年製作のアニメ)
3.8
今敏監督にとって唯一のTVシリーズオリジナル作品。

劇中のリアリティラインが明示されない中で起こる連続通り魔による不可解な事件。だからこそ目の前の光景が現実なのか妄想なのか境界が曖昧なものに。虚像が次第に尾ひれをつけ実害を与えるのは現実の情報社会でも起こり得る話。本編ラストが示唆するように事件はまた訪れる。

主要人物で事件の解決に当たる刑事が登場することで、視聴者側も自然と謎を解く側に移入していく。物語が進むにつれて点と点が繋がっていくミステリーとして楽しめる。

制作スタッフも近年は主に劇場作品に参加されるような方々が高頻度でクレジットされており、全体を通して作画面の見所多し。キャラクターはリアル寄りなデザインで芝居するが、劇中アニメの『マロミまどろみ』はデフォルメ調だったり、第5話の妄想世界でのアクションはアニメらしいタメツメが効いているのも面白いところ。
特に第8話は物語や映像が短編映画と言えるほど完成度が高い上に、本編の流れからやや逸れたサイドストーリーのため、最悪この話数だけでも必見。
第10話は激務に追われるアニメの制作現場をアニメで表現する皮肉。制作進行のキャラのCVも相まって後のSHIROBAKOも連想させる。

お気に入り話数:5、8、10

犬の散歩中はリードを離さないようにしましょう。
リミナ

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