八咫烏

かつて神だった獣たちへの八咫烏のレビュー・感想・評価

かつて神だった獣たちへ(2019年製作のアニメ)
3.7
戦争に利用され見捨てられた者たちの悲哀を描いたアニメ。

資源を巡って南北に分かれ、内戦が続く国が舞台。時代背景も南北戦争の頃をモデルにしている。
大砲と銃槍で戦う戦争は地味だけどリアル。

劣勢を打開すべく、禁忌の術で異形に変えられた部隊が作られる。「擬神兵」と呼ばれた兵士達は、しかし次第に獣性が進み理性を失っていく。
主人公はこの擬神兵部隊の隊長ハンク。
終戦後ケモノと成り果てた元部下達を殺して歩く。ケモノの造形がケンタウロスやセイレーンなのが神話味を与えている。

題材が題材なのでエピソードはいちいち重い。
特に寡黙な読書家だったアーサーの回と歌姫トリスの回。つらい。一度でいいから海が見たいとか。。悲しすぎるでしょ。

追い討ちをかける様に、共に部隊を支えてきたケインをリーダーに、虐げられた擬神兵が決起する。
かつての盟友と敵対する事になるハンク。

過ちを繰り返す人間は愚かだし、愚直に誓いを全うしようとするハンクが哀れを誘う。

強く成長したヒロインのシャールや、真っ当な感性を持つライザ姉さんなど、女性キャラも良かった。

・残念だった点
終盤ケインが呪術師じみてくる。
物語は中途半端に終わる。
所々の作画崩れアリ。

とはいえ総じてドラマとしての見どころは多く、結末まで見届けたかった。
八咫烏

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