Filmarksくんにわざわざ追加してもらいました。
強烈過ぎるサイコホラー。
放送倫理余裕でアウトなスプラッター描写。
これが地上波で放送されていたというのだから驚きだが、それだけではない。
エスパーになる主人公の綾は朗らかな女の子、というのも珍しい設定。
不吉な力に目覚めてしばらくは戸惑っていたが、徐々に惨虐な人格に乗っ取られてゆく。
この丁寧な過程が、視聴者が抱えていた綾への同情を揺さぶる展開となっており、得体の知れない恐怖を感じさせる。
『キャリー』をはじめとした、本作に影響を与えた名作にも、これほど真に迫った怖さはなかった。
それはおそらく、本作がホラーであり、女性映画であるからだろう。
念によって殺された女性教師の妊娠。初潮を思わせる、金魚の死骸をトイレに流すシーン。これらには母親の堕胎も重ねられている。
セクシャルハラスメントや暴力を振るう男性(絵に描いたようにひどい)、男性側に立って優位に立とうとする母の学友。被害者のほとんどは、反フェミニズム的な人物ばかり。
性長の戸惑いと男性側からの抑圧が繋がって、ドミノ倒しのように一家が崩壊していく。
母娘、そして、父権社会を生き抜いた祖母の三世代による負の連鎖。
終盤に、母とシンクロしていることが超能力を生んでいたことが明かされる。
殺してきた感情の増幅、その象徴として堕胎児のエピソードがあり、母は娘と共に心中して清算を試みた。しかしその想いも虚しく、家庭を失った妹に怨念が継承されてゆく。
頭みそ爆発は笑えるけど笑えない…。