IPPO

D.P. -脱走兵追跡官-のIPPOのレビュー・感想・評価

D.P. -脱走兵追跡官-(2021年製作のドラマ)
4.3
衝撃的かつ重厚な大傑作。
さすが、韓国としか言いようがない。予想外のヘビーな内容に戸惑いつつ引き込まれた。

韓国に興味を持つ者なら誰しもが好奇心を寄せる「兵役」。そのタブー的慣習に触れ、NETFLIXという世界コンテンツで発信する勇気。韓国人男性の心の闇の一因をここまで暴いた作品はかつて無いのでは。何故なら、そこでの出来事を語るのはタブーだったから。

チョン・ヘインは、「刑務所のルールブック」でも真面目な軍人役だった。孤独と誠実さを纏う彼には適役だ。
全6話という微妙な尺にも意味がある。
クライマックスの第5話と6話はもはや映画クオリティ。1〜4話はそれに繋ぐための前日譚的ドラマだ。もう少し長く見たい気もするが、「ドラマでも映画でもないNETFLIX的な作品」だと思えば適切である。

ちなみに、兵役の人間関係のねじれを描いた映画は、『工作』や『群盗』の監督ユン・ジュンビン監督がアマチュア時代にハ・ジョンウを起用した『許されざる者』がある。こちらもつらい一作である。

本作は、脇役の演技も見事。
チョン・ヘインの相棒役を務めたク・ギョファンの飄々とした身のこなしは新ジャンル感満載で、良いスパイスとして今後重用されそうだ。

クライマックスのキーパーソン、「オタク」を演じたチョ・ヒョンチョル。この役は相当な難役なはず。最近は『マルモイ』『サムジンカンパニー1995』にも登場したダークホース的な期待株。

オタクに狙われる先輩上官は、ミニドラマ「A-TEEN」で寡黙なバスケ男子を演じたシン・スンホ。体格と顔立ちのせいか、嫌な奴の役回りが多いが、今後はもっとイケメン枠でも注目されて欲しい。

長くなりましたが、久々に大納得、満足度高めなNETFLIX作品に会えて感激。
IPPO

IPPO