空の落下地点

ラブ&デスの空の落下地点のネタバレレビュー・内容・結末

ラブ&デス(2023年製作のドラマ)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

最初に人が死んで、音楽に語らせる。それから、物語の殆どが対話。
ニコール・キッドマンが製作に入ってると毎回?
監督がギルモア・ガールズに携わってるから、その縁でクリステン・リッターの起用?

ベティ・デイヴィスのベティ。ビートルズの曲のワインは、キリストの血。
キャンディの無意識を代わりに言語化すると、🌠ベティがキリストみたいに甦りそうで怖かった、ってとこ❓
罪を着る(着せる)、イエスの御霊を着る、愛は心を相手に着せること。
🌠噂話は人物像のデッサンであって写実ではない。

キャリア・ウーマンへの嫉妬か。精神障害差別に繋がりそうな作品。
アランを欲しいって言ってほしかったんでしょう。持ち物を羨まれたかった。

人形劇の裏で暴力が起きるとかもビッグ・リトル・ライズと共通だし、個人的なトラウマともとれる。

キャンディは三人殺した。🌠ベティ、母親、弱い自分。か弱さを格好悪いものとして反面教師にしたキャンディは、自分には何も起きていないと思いたかった。BLLのセレステと同じだ。

これ勿体ないな、映画でやってたらオスカーレベルの演技してるのに。
登場人物に精神障害が多い。アランはぼんやりして思考力に問題ありだし、ベティは鬱と統合失調症、キャンディはPTSDと乖離。
キャンディは自分自身の中にいるもう一つの自分、ベティと母親に代表される弱者性を殺しただけ。🌠アランの家はキャンディの脳内を表してる。
ベティはキャンディの鏡だった。
大切なのは、🌠目に見えない病気を法廷が承認したこと。今でも鬱病は甘えと誰もが思っている。このドラマは『エミリー・ローズ』をやろうとした❓

マリッジエンカウンターを経ることで新しい夫婦になる、シャワーを浴びることで不倫や過剰防衛が無かったことになる、など🌠儀式を通ることによる精神の刷新も一つのテーマ(スイムウェアー=水を着る、シャワーを着る)。
結婚式を経たから、神に誓ったから、そう決まるというように。キャンディは少し受動的で洗脳を求めてて、強い存在からの操作をいつでも期待している。
出頭を控えてるのにクッキーを焼くなど、日常という一つの流れを凄く大事にしている。まるで脚本に沿うように。そしてベティも、変化を嫌って決まりを大事にしていた。でもそれは凄く協調性がない。キャンディだって変化を嫌う傾向があったはずなのに、無理して協調性を発揮していた❓自由に輪から離れられるベティが少し羨ましかった❓
メモ:🍬「(ベティと)似ている部分もあった」、英語圏ではElizabeth名の愛称はベティ

本当の自分を曝け出せる信頼関係を築けてなかったから、夫や友人に自分はやってない・知らぬ存ぜぬと嘘を吐き続けただけだろう。むしろキャンディに信じてもらえなかった周りが悪い。ありのままの、弱さも含めたキャンディを誰も求めなかった。求めたのは、便利なキャンディ。教会で主導的役割を果たし、いつも家庭の中を明るくした。彼女の演技を、解いてあげられる人が誰もいなかった。
前半のアランもキャンディを都合のいい女扱いしてるし。

犬が何度も出てくる。待てと言われたら爆発する。母親のシーッは待て。ベティのシーッはヨシ。弁護士から陪審員に「皆さんの知性を侮辱している」と言われた行動原理。でも、製作側が訴えたいメッセージは〈理解し難い人を理解しようと努めるのが知性〉ってことなんじゃないか。
このタイトルのラブの部分は、もちろん家族もだけど、シェリーからキャンディへの友愛なんだと思う。神を信じるようにキャンディを信じ、離婚は望ましくないという聖書の教えを守るように友情を貫いた。
🌠友情は一つの結婚である。BLLと同じテーマ。アランなんかモブだから。冒頭で不倫を大きく打ち出しておいて、ラストで徹底的にモブにする。お前なんか最初っから誰も見てねーよって。

エンドロールまで観ると、のちに拳銃自殺したドンも精神の何かだったことが疑われる。こういうドラマは当事者のキャンディが許可しないと製作されないはず。キャンディ・モンゴメリは全ての精神障害・疾患の人々の為に自らの人生を捧げたのだと思う。🌠キャンディこそが牧師。
シェリーとドンと実の娘がキャンディの味方で良かった。息子はどうした❓

メモ:ドンは刑事事件の弁護経験もないのに弁護を引き受けてくれた弁護士、キャンディは後に離婚してファミリーセラピストに(母親やベティのような人を救おうとしている❓)
おそらくキャンディは、ドンのように生きようとしたのだと思う。キャンディじゃなくてベティが生き残っていたら、きっとドンはベティを弁護しただろうから。当事者全員メンヘラ、相見互い。インテリ精神がそうじゃない精神を護った、それだけ。

この作品はキャンディを完全に擁護したわけではない。ただ、フェミニズムが或る精神への殺人にならないように。ベティやキャンディママみたいな家族を支配することが生き甲斐の人種をどう受容していくかっていうのがフェミニズムのこれからの課題。🌠主婦コンプレックスを労働の動機にしない為に。お互いをお互いのストレスにしない為に。ベティが教会復帰しない本当の理由は、労働と教会とママの内の二つしか両立できないから❓働くママでいたいから教会に行けない❓
〈女性性〉という一つの精神の中で起こった分裂は、ドラマのこちら側で今まさに起きていることなんだ。 メモ:ベティは教師
空の落下地点

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