IPPO

39歳のIPPOのレビュー・感想・評価

39歳(2022年製作のドラマ)
4.2
最終回を朝の通勤電車内で見始めたら思いがけずボロ泣き。危うし。
良い涙をたくさん流した作品でした。

39歳、アラフォーのリアル、ってのは建前で、軸として描かれてるのは「死にゆく友へ捧ぐはなむけ」だった。

韓国人気女優ソン・イェジン。相変わらずの彼女の高い演技力を楽しむとともに、共演の2女優の演技もまた良かったんだなこれが。

末期癌を宣告されたチャニョン。デパートのコスメの販売員のジュヒ。個人的にはジュヒを演じた女優キム・ジヒョンにハマりました。演技が上手い!韓国のトップ舞台女優さんなのね。3人組ドラマによくある、主人公と気の強い2番手に挟まれたおっとり系…かと思うがジュヒはそうでもない。
おっとりしつつも実はかなり頑固で気が強く、酒飲み。良い具合にマイペースで、ミジョに対して「チャニョンが去った後、私とあなただけで上手くやれるか自信が無い」とぶちまけるシーンはグッと来るものがあった。

一方、死にゆくチャニョンはミジョに対し、「しっかり者のあなたを思うと心強くもあり不安でもある。私が去った後、しっかり生きていけるの?」と問いかける。

互いを理解し、程よく執着し、高め合い、生きてゆく。韓国ドラマで丁寧に描かれる極上のヒューマンドラマ、やっぱり良いな。

タイミング的に「二十五、二十一」を期待値を持って見てしまったのだが、個人的にはこちらの方が断然好みだった。

主人公が施設育ちで本当の親を知らない
という設定もアラフォーの主人公の人生の分岐点のように作用する。ミジョは血の繋がりを知らないからこそ、チャニョンとジュヒ、さらには彼女らの親さえも家族同然だと考える。大袈裟のようで、実際はそういう人も居るだろう。

血の繋がりを超えた、人と人との絆、あたたかなその温もりを描いた良作でした。

余談
ミジョの恋のお相手ソヌの父が韓国あるあるの人格ねじ曲がった家父長制の化石クソ親父。あそこまでソウォンを毛嫌いする理由が分からん。あの設定はむしろ要らない。ソウォンが孤独を抱えた理由をもっと他の要素にして欲しかったなぁ。
IPPO

IPPO