これは擁護しなければならないだろう、という思いでいる。まずロケーションの使い方が素晴らしい。アカデミーの教室・中庭・階段・屋上くらいしかないにもかかわらず、例えば教室なら入る/入らないで駆け引きをしてみせたり、中を覗き見る行為を起点にしてたりと、画面がとても充実している。カメラを引くタイミングなんかも完璧で何度も感心した。
後半だいぶ間伸びしていたのが惜しいものの、シナリオも力入ってて面白い。凛音がデレていく様も、翔太が裏回ししてる様も、前向きな美羽が結構思い悩む面を持ち合わせているところも良い。キャラクターがしっかりしてると言うべきか。
途中加入するひなた・蓮に関してもじっくり葛藤描いてて、この二人に割と肩入れしてしまった。なのでベストは22話。オフスクリーンで轟く飛行機のエンジン音が、ひなたと蓮のユニット結成を緩やかに確信させる。あまりにも見事な演出。また二人の朴訥とした芝居は、その後も幸福な時間の流れを醸成していく。この限りなく恋愛に近い信頼関係に悶々とするのは僕だけではないはずだ。
しかし決定的な欠陥が二つある。ひとつはダンスバトルの勝敗が分かりにくいこと。観客のボルテージという曖昧な基準ではなく、技術点とか数字で提示してほしかったなと思う。
二つめは主役5人のダンスが素人目に見て上手く見えないこと。いや自信ないけど、EXILEの二人やカイリーさんのダンスを見る限り、少なくとも後者の方が魅力的ではあった。
ダンス全振りへの路線変更が吉とは出なかったのかもしれないが、失敗作の烙印を押されるのは悲しすぎる。ちゃんと面白かったのでどっかで評価されてほしい。
