キッド

石子と羽男―そんなコトで訴えます?―のキッドのレビュー・感想・評価

4.7
個人的2022夏ドラマトップ作品。
話自体もおもろしく、ドラマのテンポも非常に良いながらも、扱ってる題材はしっかりと現代問題にスポットを当てたものという、どこを切り取っても完璧な作品でした。
マチ弁ものですが、スカッと系というよりも、人間模様を混ぜながら各々成長していき、その中でそれぞれの話題に対して一つの回答を提示していくという感覚のドラマ。

弁護士作品でその道の天才ではない作品は珍しい印象。
また弁護士作品でよく描かれる日本における異端児というよりも、どこにでもいるTHE 日本人の日常の中での奮闘記という形で非常に共感もしやすいのも特徴。

それぞれのキャラが何かしら問題を抱えていて自信もあまりないにも関わらず強がって生きているキャラで、それが合わさることで化学反応を起こしてそれぞれの問題が少しずつ緩和していく。
このようなストーリーだからこそ、1人1人のキャラクターに魅力があって惹きつけられる。

また静かに時間が流れていく場面、非常に騒がしい場面、どの場面も、有村架純、中村倫也、赤楚衛二、さだまさしといった抜群の俳優達の見事すぎる演技で日常を思わせる非常に良い場面を演出している。

そして扱っている題材は現代問題をしっかりと取り扱っている。

1話⇨カフェ充電問題、職場パワハラ
2話⇨未成年スマホ課金問題
3話⇨ファスト映画、ネット誹謗中傷
4話⇨電動キックボードの事故
5話⇨町内会問題、高齢者の恋、生前整理
6話⇨事故物件、育児・育休問題
7話⇨トー横キッズ、虐待
8話⇨表現の自由
9,10話⇨冤罪、不動産詐欺

どれも難しい問題で、ドラマとして一つの回答を提示しているといった感覚。
この題材を扱うには非常に重くなりそうなものなのに、テンポよく楽しく観られる作品に仕上げたのはすごい。
監督や演出家の腕もあると思うけど、やはり主要俳優4人の作り上げる空間が見事だったと思う。
特に有村架純は最近こういった静かに伝えることを伝えていく作品に出ることが多く、その演技力がどんどん向上していくなと感じている。
あ、おいでやすおだもなかなかいい味出してたよマジで!

何もかもの調和が取れた素晴らしい出来栄えの作品だったと思います。
キッド

キッド