はんそく負け

ジャッカー電撃隊のはんそく負けのレビュー・感想・評価

ジャッカー電撃隊(1977年製作のドラマ)
3.4
再見。やはりハードな序盤が魅力的。「東京を犯罪都市にする」という目的の犯罪組織・クライムに対してジャッカーはサイボーグとなって立ち向かうわけだが、それ自体が実はダーティーな札を切っている。第1話が分かりやすいのだが、司令官・ジョーカーは犯罪者である(誤認逮捕らしいが)東をダイヤジャックに、事故で瀕死のカレンをおそらく同意なしにハートクインに、既に亡くなっていた大地文太をクローバーキングにそれぞれ改造するのだが…。いや、どれも一線を超えてるじゃないすか。特に死体を甦らすって倫理が終わってるわけで、実はジョーカーがやっていることってショッカーと大差ないのである。そこがダーティーだなーと思うのです。
そして「親から貰った身体を大事にしたい…」と述べていた桜井も最後にはスペードエース=サイボーグとなることを自ら選択するわけで、それってモラルを捨てさせることでもある。つまりジャッカーはクライムに対抗するために人道を外れた集団であって、毒をもって毒を制すというのがテーマとして浮かび上がってくる。それをしっかり描き切っているのがあまりに凄まじく、第1話「4カード‼︎切り札はJAKQ」が文句なしの本作ベスト。
その後も9話で素人の青年をクライムに潜入させるという危険な手段を平然と取れるのがジャッカーの強みだなーと思ったりするのだが、しかしこの路線が徹底されているわけではないのが惜しい。もっとコントロールされていたらどうなっていただろうと、残念な気持ちはある。
さて周知のとおり話が進むにつれてコメディ色や子ども目線が強調され、行動隊長ビッグ・ワンの投入などテコ入れもあからさまだが、見直してみるとそれはそれで悪くない。ビッグ・ワン、というより番場壮吉の活躍は確かに目立つがジャッカーの面々もそれなりに活躍していて、もっと端に追いやられている印象だったが、全然自分の記憶なんて頼りにならんなーと思った。(余談だがそれで言うと第4話でキングが子どもに触られて「冷たい!」(死体だし機械なので)と言われるシーンがあったと記憶しているのだがそんな箇所はなく、何と勘違いしてたんだろう?)
スカイエースはもうちょっと活躍させろよとか強化カプセルの設定持て余してるだろとか細かい文句もあるにはあるが、でもちゃんと面白い作品でした。