マクガフィン

シガテラのマクガフィンのレビュー・感想・評価

シガテラ(2023年製作のドラマ)
3.5
出会いの都合良さや都合が悪くなるフェードアウトするキャラは古谷実ならではに。因果が微妙に続く展開、何気ない会話や心の機微、傍から見ると非日常でも当人たちにとっては日常なエピソードがリアルに。
いじめられっ子の女の癒し、バイクがマクガフィンで青春や渇望するメタファーなこと。「非日常と日常」や「不幸と幸運」が渦巻くが、冴えない主人公を中心とすることが考え深い。原作鑑賞済み。

■1話~6話。
いじめられっ子に彼女ができて、いじめられなくなり、いじめっ子が報復される、傍観する立場に変わるシークエンスが興味深い。

■7話
イケメンのルッキズムに反する男のダークな部分。

■8話
7話と対になるルッキズムだが、ダメ男による抑揚ある情念の揺さぶり攻撃がダークサイドの誘惑に。彼氏にする嘘と建前が、彼氏への気遣いと自分への慰めへ。

■9話~11話
自分と彼女の考えたくないことや忘れたない過去が迫ってくる、モラトリアム期の将来の不安と日常の悩み。バカは強し。

■12話
何気ないことからヘビーな出来事を通過儀礼的な纏め方にし、色々あって10代の描いた未来と違っても、それが人生の肝のようでもあり、肯定にも。
原作にあった、最初は否定していた癖がある『ドゥカティを買っちゃおうかな』という、これまでの人生をメタファーにしたセリフを省いたことは残念。このセリフが聞きたかったのに。