ぶみ

ゼイチョー ~「払えない」にはワケがある~のぶみのレビュー・感想・評価

3.5
徴税吏員って知ってますか?

慎結による漫画『ゼイチョー!〜納税課第三収納係〜』を、菊池風磨主演により映像化した日本テレビ制作のドラマ。
市役所の納税課に勤める職員が、税の滞納者と対峙する姿を描く。
原作は未読。
主人公となる、みゆきの市役所納税課徴税第三係の職員・饗庭蒼一郎を菊池、百目鬼華子を山田杏奈、同係の他の職員を白洲迅、松田元太、鈴木もぐら、猪塚健太、係長を光石研が演じているほか、石田ひかり、本郷奏多、佐戸井けん太、六角慎司、石野真子等が市役所のレギュラーメンバーとして登場。
物語は、ゲスト俳優を滞納者とした一話完結方式で展開、税をテーマとしているため、雰囲気が重苦しくなりそうなところを、菊池演じる饗庭のキャラクターを筆頭に、コミカルな演出を基本としてバランスを取っているのが印象的。
何より、税を扱う作品は少なからずあれど、その中でも滞納者を相手にする徴税吏員を主役に据えた作品は初めてではないかと思われるのだが、本来納税は国民の義務。
払うべき人が、納付期限内に納付していれば、徴税吏員の仕事はなくなり、例えば、病気や失業等で仕方なく払えなくなってしまった滞納者の対応をしていれば良いだけのこと。
しかし、現実にはそうではなく、例えば私の住む自治体の税の収納率は全体では99%を超えているのだが、裏を返せば、その残り僅かな人々、特に納付できる資力はあるのに払わないという、一筋縄にはいかない滞納者を相手にする仕事は地味ながら頭が下がるものであり、納期限内に納付している大半の市民に顔向けができるよう、公平公正を信条として業務にあたっている徴税吏員にスポットを当てるのは価値あることだと感じた次第。
ただ、一つ気になったのは、所謂滞納者の家や職場に訪問することを、臨宅(りんたく)と表現していたのだが、臨宅は国税、それも主に相続税の調査の際に使われる言葉であり、通常市役所の現場では臨戸(りんこ)と言っていると思われるので、そこは非常に残念だったところ。
徴税は最終的には法をバックとした差押が執行できるため、強力な権限を持っているが故に、公務員らしい仕事である反面、紋切り型で進めてしまうと叩かれてしまうのだが、菊池や山田演じる饗庭や百目鬼のような職員がいれば、その市役所は安泰だと思う一作。

公務員、なめんなよ。
ぶみ

ぶみ