若草

侵入者たちの晩餐の若草のレビュー・感想・評価

侵入者たちの晩餐(2024年製作のドラマ)
4.8
脚本も演出も演技も冴え渡ってる。
こんなオリジナルドラマをお正月から放送する日本のコンテンツ力、まだ希望が持てる。

前半怖いくらいスムーズに進んでからの怒涛の展開に夢中になった。
気持ちいい伏線回収ですぐにもう1回見たくなる。
そうはならんやろと思うような無理矢理展開もあるのに笑って流せてしまえるのって、根本がお笑いの人が作ってるからなのかな。
普段は気になるタイプなんだけど、醒めずに受け入れて次々見ていけるの不思議。

ブラッシュアップライフ同様、現代女性の描き方に救われる。
現在誰も配偶者がいなくて、ストーリー上必要な過去にだけ触れる。
女性3人集まって恋愛の話題にならないのが本当に心地いい。
めんどくさいコロッケを作って一緒に食べたくなるような友達って最高だよ。
あと登場人物も撮影場所もすごく少なくてシンプルなのもすごい。
脚本が本当に面白くて俳優の演技が素晴らしければ、画面に派手さなんていらない。

バカリズムはなんでこんなに台詞書くの上手いのか。
言葉の選び方がどれも秀逸。
現代人のリアルな言葉遣いをとても自然に緻密に再現していて感動する。
普段から普通の人の会話聞いたり人間観察すごくしてるんだろうな。
あとジェンダー化されていないのが大好き。
いわゆる男言葉、女言葉みたいなものが極力排されている。
文字で見たら、言葉遣いだけではその人物の性別を判断することが難しい台詞が多いと思う。
実際、今の人の話し方ってそうなって来てると感じるし。
その意味でも現代の生きた言葉なんだよね。

3人とも演技上手くてキャスティング神だったけど、中でも菊地凛子は何。この人何。
派手で奇抜な役が似合うイメージだったから、スーパー行けば3人はすれ違うようなどこにでもいる普通の人に化けることできるんだ…ってびっくりした。
バツイチって告白するときの仕草、表情、言い方、まとう空気が完璧だった。
髪の毛触ったり鼻啜ったりさりげない動きがもう笑っちゃうくらい上手い。

バカリズムとブラッシュアップライフ製作陣の相性良すぎるから、どうかテレビ局はお金と放送枠だけ出してお任せで好きに作らせてくれ。
若草

若草