荒野の狼

八重の桜の荒野の狼のレビュー・感想・評価

八重の桜(2013年製作のドラマ)
5.0
2023年に会津祭りを見物したおりに、特別ゲストとして毎年参加しているという、本作主演の綾瀬はるかさんを見る機会があったため、本作を視聴。私は福島県出身者であるが、本作は放映時に見る機会を逸していた。私は、恥ずかしながら会津の歴史は白虎隊に関する知識と、京都で金戒光明寺、京都御所、壬生寺といったゆかりの地を訪れた程度。本作を見るまで、地元福島の苦難の歴史の全貌を学ぶことがなかった。本作では、一貫して「会津の逆賊としての汚名」をそそぎたいという会津人の思いが描かれていたが、本作が大河ドラマとして作られたことで、やっと汚名はそそがれたのではないかというほどの素晴らしい出来。
人間愛のドラマとしても優れており、聖書の引用も巧み(新島襄の臨終の時のエフェソの信徒への手紙3章)で、とくに西島秀俊の演じる山本覚馬の同志社大学卒業式での反戦のメッセージは感動的(イザヤ書2章が引用されるが、この言葉は歴史的には山本によっては語られていないようではある)。亡くなった人が生者とともにあるという思想はキリスト教に限ったことではないが、オダギリジョーの演じる新島襄の八重に対することば「亡くなった人たちは、もうどこにも行きません」が語られるくだりは、涙なくしては見られない名場面となった。
本作は、福島出身者は、必見の作品といえる。熱い郷土愛と誇りが、私の中では、いつまでも胸に残るであろう作品。
荒野の狼

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