ながらみ御免

MR.ROBOT/ミスター・ロボット シーズン1のながらみ御免のレビュー・感想・評価

4.5
ハッキング技術の描き方が断トツにリアルな映画という評判に興味をひかれて観てみたら、確かにその通り……なんだけど、天才ハッカーが魔術的テクでバンバン悪人をやっつけるぜ!というだけの映画ではなく、それ以外の要素も山盛りで、正直シーズン2あたりで「……まだ続くの?!」と思わなくもなかった。ストーリーもややこしいし、時系列が特に断りなく前後するしで、ちょっと目を離すとわかんなくなっちゃう。
でも諦めず観続けるうちに、彼らの行く末をいつまでも見届けたい気持ちが高まり、遂に訪れたエンディングではボロ泣きしてしまった。だから途中ちょっとくらい疲れても最後まで観た方がいいです。

なんといっても主役ラミ・マレックがすごい。圧巻の眼ヂカラで長編を引っ張り通した点で『クイーンズ・ギャンビット』と良い勝負。目は口ほどに物を言い、というけど、彼は目に感情を乗せるのが本当に上手い。あと声にも。だから、表情や動きの乏しい寡黙な役柄なのに、観客は感情移入しちゃうし、大量の独白も鬱陶しくない。
『ボヘミアン・ラプソディ』は観ていたのに、あのフレディ・マーキュリーを演じた俳優だとは、名前検索するまで気づかなかった。メイク衣装等全然違うとはいえ……役柄への溶け込み方がすごい。
ご本人いたって人懐っこい方だそうで、4シーズン通してニコリともしない役をよく演じられますね。俳優って……すごいを通り越して不思議。

彼以外のメインキャストも、さらには端役まで、真に迫っていて良かった。警備員とかね。Mr. Robot のクリスチャン・スレーターもとても良かったけど、ラミ・マレックのMr. Robot もちょっと観てみたかったな。周りの人にどう見えてるのかを。

観終わって思ったのは、『ゴールデンカムイ』と似てるなと。
メインのハッキング戦争以外に家族や精神や政治経済や色んな要素盛り盛り、ヤバすぎるのに妙に魅力的な人物が沢山でてくる、4陣営くらいが入り乱れ誰が何陣営か混乱する、長大化を恐れず全部描き切る気合い、でも流石にちょっと長い、時折挟まれる独特なユーモア、よくこの話にケリをつけたなと感心するエンディングなど。

4シーズンに渡る長編で、現実離れした話なので、やはり「んん??」と引っかかったり(モルヒネ常用ギークが警官ぶっちぎって長距離走できるんかい?!)、単純化しすぎに感じる所はどうしてもありましたが、革命起こして終わりではなく、その後をしっかり描こうという執念に感服しました。す