ハル

青い鳥のハルのレビュー・感想・評価

青い鳥(1997年製作のドラマ)
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面白いというにはあまりに静かで、美しいというには、たくさんの人々の愛憎が絡み合いすぎていた。余韻が長く続く、心に残る作品だった。人が人を思う気持ちは簡単には言い表せなくて、ただ大事にしたくて、隣にいたくて、幸せでいてほしい。それと同じくらいの苦しさを感じても、出会えてよかったと心から思える、そんな人に出会えれば、それで十分ではないか。愛されることよりも、大事にされることよりも、愛せること、大事にしたいと思えることのほうがずっと私には大事だと改めて思った。どれくらい好きかとか、誰より好きだとか、何と比べてとか、どうしてそんなことがわかるだろうか。誰もが唯一無二の存在で、誰にも取って代わることなどできないのに、そんな問いかけは無意味だ。なのに人々はそれらに囚われて、不幸になっていく。本当は言えることなどほとんどなくて、言葉に詰まるばかりで、いつまで経っても何が幸せなのかわからない。子供のようにうずくまって、それでもやっぱり心に浮かぶその人を、ただ想い続ける。その先に何もなかったとしても、歩いていくしかない。今より強くなって、明日の自分がその人を、自分の素直な心を、守り続けられるように。
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