タロ

悪女のタロのレビュー・感想・評価

悪女(1992年製作のドラマ)
4.1
石田ひかり
倍賞美津子

このころ無双だった石田さんと、ミステリアスなハスキーボイスの倍賞さん
そこに、渡辺麻里奈さん、いしのようこさん、永瀬正敏さん(ドラマに出てた!このころは!)たちが、キラキラ輝いていました

大企業に入社したユニークな新人女性社員がある先輩女性社員と出会い、出世を目指してサバイブしていく物語

麻理鈴の悪意なき独創的で進んだ発言が、周りの虐げられても奮闘する女性たちの心を動かし、共鳴し、立ち上がっていく様は、観ているこちらが眩暈がするほど爽やかで

OLみんな、田中麻理鈴よ

このセリフは本当にカウンターパンチを、男でも豆鉄砲いや、ミサイル撃ち込まれたくらいの衝撃でした

でも、令和の今になってすら

麻理鈴、は多分、異端
峰岸さんなんて、現実にはいない

最近、よく思います
物事って、正しいか間違ってるか、ではなく
多数派か少数派か、でジャッジされるんだ

悪いから、責められるのではなく
少数派だから、異端視され、弾かれるのだ、と

女性は半分いるにもかかわらず、その中で社会地位向上を目指す力が残っててかつ闘える状態の女性が少数で、それを支えようとする男性はもっと少数だから

1人で闘っても、峰岸さんや、仲間がいないと闘い続けることなんてできない

でも、諦めるわけにはいかない、だって困るの子供たちなんだから

と思ってるだけじゃ、駄目ですよね…

このドラマは音楽も素敵で、挿入歌もよかったし、でもやっぱり、あの深い青を背景に麻理鈴が瑞々しい桃に齧り付くオープニングに流れる主題歌が本当に本当に心にこびりついています

君にありがとう
サンキューマイガール

この季節、爽やかな春に、チリンチリン、って音がして、後ろをふと振り向いたら

「遅刻、遅刻!」

って自転車に乗った麻理鈴が通り過ぎて、背負ってる紺のリュックに壁掛時計がついてる気がして、少し切ない気分になって、見上げたら空が青くて、とこの年になってもセンチメンタルになる、忘れられないドラマです
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