このレビューはネタバレを含みます
野島伸司ドラマは数年前にハマって見ていたけど、知人に勧められて一晩で一気に見た。
ドラマの雰囲気の話
セリフ、演技、キャストが主題歌「僕たちの失敗」の耽美的なメロディによって包まれている。
限りなく常に漂った死の匂いと、過激な描写にも全て主題歌の枠組みの中で行われていることだと思える位、つまり森田童子の曲が凄すぎる。魂が宿っている。
多少の演技力や大雑把な設定等の「え???」は、「トレンディだから」という理由で大体おさまる。
この時代ならではのマットな色味や、詩的なセリフと会話劇で張った伏線にも何度も頭を抱えた。
ラストの繭が腕を落とすたった数秒のシーンで物語に圧がかかる。
今世で離ればなれでも、来世では結ばれるようにと赤い糸を結び、固く手を繋ぐ。眠ったような2人。
シェイクスピア並みの大悲劇的結末にも関わらず、窓に映るのはハートマーク。ハッピーエンドってか…?むりだよ…沁みるよ…一人で見るのはキツい。
ただこれは愛の物語だから、作者が作りたかったのはもっと象徴的なものだと思うから、と禁断の恋がどうであれ言葉たらずとも信じあえる二人の愛に心を納めることにした。
ラストの約2分間では卒業式とのシーンが混ざる中、2人の顔やセリフをあえて映さない。
淡々と過ぎるシーンが悲しみの余白を埋めるように、ほんの一瞬の濃い瞬間とは案外あっけなく終わってしまうのである。
案の定私の心は終わった。
「このドラマはフィクションであり〜は全て架空のものです」
の字体にも何故か泣ける。
3日は引きずるなし