社会のダストダス

ロック&キー シーズン3の社会のダストダスのレビュー・感想・評価

ロック&キー シーズン3(2022年製作のドラマ)
3.2
コロナ禍に入ろうという丁度そのくらいのタイミングで始まった『ロック&キー』もシーズン3をもって完結。だいたい2年半、今シーズン1の第1話を観てみると末っ子ボードを演じたジャクソン・ロバート・スコット君(『IT』のジョージぃ)の成長ぶりに驚く。

正直なところ物語の盛り上がりとしてはシーズン2がピークだったかという印象。2シーズンにわたってメインヴィランを務めたドッチに変わり、新たな敵が登場するが顔は怖いけど悪役としての魅力はいま一つ。もともと、シーズン3への繰り越し要素は新たな敵キャラ、ギデオン大佐くらいのもので、それ以外に関しては綺麗に片付いてしまっているため、悪役の陳腐さからか全体的に蛇足感があるシーズンに感じてしまった。

とは言えシリーズの締めくくりとして良かった部分も多い。第1シーズンからほとんど代わり映えのしないメンバーだけど、今回はロック家のお母さんも本格参戦、代わりに長男タイラーはメモリーキーを使わず大人になったため、魔法に関する記憶を無くす。タイラーの記憶消失はもっと後半まで引っ張っても良かった気がするけど、おかげでクレジットでは先頭なのに今まで空気だったお母さんにスポットが当たる。

おそらく本シーズン最大の見所は、諸事情あり人格が入れ替わってしまったボードを演じるジョージぃ君か。今まで何かやらかすのはタイラーとキンジ―の仕事だったのに、事件にいたるまでの流れが意味わかんなすぎてビビった。けどそこからのボーディ劇場は本シーズンの数少ない見所で、ジョージぃ君の今後が非常に楽しみになる名演だった。あの変わりぶりを思春期で片づける周りもどうかと思うが。

そして今年は『CODA』の快進目覚ましいエミリア・ジョーンズちゃんの歌のプレゼントもあり、シーズン3になって急に歌い始めたなーと思ったけど、相変わらずの美しい歌声でNetflix1か月分の元が取れる。恋人は留学中でロマンスもなく、お兄さんは鍵に関することを忘れていて、ボードは乱心しているため、今回はキンジ―が一番冷静だったのが展開としてはスパイスに欠けてしまったか。

不満も結構あるシーズンだったけど、何だかんだでロック家の人たちには愛着あるし、クライマックスには胸が熱くなった。コロナ禍で打ち切りになってしまったシリーズも多いなか、尻切れトンボにならずきれいに完結したことが本当に良かった。

エミリアちゃん主演の殺人ロブスターの映画は普通に観たいのでネットフリックスさんにはぜひ作っていただきたい。