あまね

刑事ゼロ スペシャルのあまねのネタバレレビュー・内容・結末

刑事ゼロ スペシャル(2020年製作のドラマ)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

ドラマ本編よりもお祭り感が強く、ドタバタした印象だった。

まず事件。
幕末の人斬りが出てくる見立て殺人で、京都らしいといえばそうなのだが……なんでいきなりこんなに派手な見立て殺人がと、気持ちが置いてけぼりになった。
たぶん、演出のせいもあったと思う。
派手なポスターみたいな幕末人斬りのカットがばばーんと入るのだ。いや、これ、人斬りメインの話じゃないよね?と、無駄に凝った演出に正直首を傾げた。

そして見立て殺人のもとになったのが、時矢刑事がまだ記憶を失う前に、友達の映画監督に書いた映画のシナリオだという。
現役刑事が殺人事件のシナリオ書くって……しかもそれが映画化できるほどのクオリティっていうのはどうなの? と頭の中でツッコミ全開だったが、そこはかつての切れ者時矢刑事の才能の為せる業なのだろうか……。

今回は、この時矢刑事の書いたシナリオが鍵となる――必然的に時矢刑事の失われた記憶が鍵となってくる。
ただ、本当の記憶ではなく、作ろうとしていた映画のストーリーの方が鍵になるため、時矢の記憶=脳内劇場(自分のシナリオの登場人物になりきって妄想)が主だ。
探偵役、助手役――と、自分とかつての想い人をそれぞれの役に当てはめ、妄想する場面が何度も出てくる。
これもまた、派手な演出。
ここまで凝らなくてもいいんじゃないかと、終始疑問が浮かぶ。

恋が出てきたり、京都らしい人斬りカットが出てきたり、脳内妄想劇場でコスプレした(探偵役)時矢が出てきたり。ファンサービスなんだろうな、エンタメなんだろうなって思うんだけど、ドラマ全体が浮足立っていて気持ちが萎えた。
物語を見せるというより、「刑事ゼロ」のファンディスクみたいだ。
実際、そうなのかもしれない。

これは酷いなと思ったのは、時矢が疑われ、その疑いを晴らすために佐相が「実は記憶喪失なんです!」と乗り込む場面。
関係者が次々と乗り込み、そうなんですそうなんですとお祭り騒ぎ。
弁護士(前妻)、主治医がばばーんと登場して「記憶喪失」にお墨付きを与える――という体ではあるものの、ろくな証明もしないままにわっしょいわっしょいと時矢を連れ去って終了。
いや、さすがに警察でそれはないだろ。容疑者だよ?

結局、最初から最後までドタバタしていて、物語はそこになかった。
「刑事ゼロ」っていうキャラクター、舞台を借りて、作り手がお祭りをやっただけ。ファン感謝祭をストーリー仕立てでやったと言われれば納得できる。
あのメンバーが大好きで、あの雰囲気をこそ感じたいという人にはきっと楽しいのだろう。
私はもう少し「物語」を見たかったので、拍子抜けした。
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