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探偵マーロウの一人旅のレビュー・感想・評価

探偵マーロウ(2022年製作の映画)
4.0
ニール・ジョーダン監督作。

アメリカの作家:レイモンド・チャンドラーの代表作である1953年発表の小説「長いお別れ」の、アイルランドの作家:ジョン・バンヴィルによる公認続編「黒い瞳のブロンド」をアイルランドの鬼才:ニール・ジョーダンが映像化したハードボイルドミステリーで、謎めく美女から依頼を受けた私立探偵の活躍を描きます。

第二次世界大戦勃発前夜の1939年のLAを舞台に、ブロンドの美女:クレアから消息を絶った映画業界人の元愛人:ニコの捜索を依頼された私立探偵:フィリップ・マーロウが、ニコの周辺人物の調査を進めていく中で、ハリウッド界隈に渦巻く欲望と権力の闇に直面していく様子を描いた正統派の“ハードボイルドミステリー”となっています。

『三つ数えろ』(1946)でハンフリー・ボガートが、『ロング・グッドバイ』(1973)でエリオット・グールドが、『さらば愛しき女よ』(1975)と『大いなる眠り』(1978)でロバート・ミッチャムがそれぞれ演じてきた私立探偵フィリップ・マーロウを北アイルランド出身のリーアム・ニーソンが初めて演じたハードボイルド映画で、煌びやかなハリウッドの世界の裏側で渦巻く陰謀との対峙が1930年代LAを再現したムーディーな情景の中に映し出されます。

原作「黒い瞳のブロンド」の前作に当たるチャンドラーの「長いお別れ」やその映画化作品である『ロング・グッドバイ』を知らなくても本作単体で十二分に愉しめるシンプルな作劇のLAハードボイルド探偵物で、登場人物のクラシカルなファッションや映画スタジオ&撮影風景といった30年代ハリウッド界隈の光と影を再現した映像世界に没入できる娯楽作となっています。
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