はろ

メタモルフォーゼの縁側のはろのレビュー・感想・評価

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)
4.0
さすがの脚本 岡田 惠和!
アマプラで視聴
2度、一気見させる佳作

BLマンガで交流する75歳と17歳の女子
雪=宮本信子とうらら=芦田愛菜が友達になる話
偶然と省略の配分が絶妙で
テンポの良いシナリオとディレクション
おもしろいと思ったら、
エンドロールに
脚本 岡田 惠和!
ああ さすがです

残された時間
こちらはハゲかけたおっさんで、
BLの感覚はよくわからない

美しい男子同士の恋愛というのは、
秘められていて、アート寄りで、
想像と創造を掻き立てられるということなのだろうか?

ただ、このBLもLGBTの時代がきて、
秘められて輝くことを許されなくなる
輝きはいつまで続くのだろう
雪の「7÷1.5=4.6」
残された時間と出版間隔の計算は、
雪の人生だけでなく、
ひょっとするとBLそのものの時間を
明示しているかもしれない。

ダメ女子な芦田愛菜
子役の頃から、しっかりモノ
そのイメージのままに大きくなり
演技はうまいが、良い役に巡り会えていない

今更、喜怒哀楽を派手に演じてもーと、
自問しているような寸止めな表情は
コメディでボケ役が一番ハマる!
脇役で試してもらいたいが、今更そんな役がまわってくるはずもない
芦田愛菜には、チャレンジを許されない
不幸さがある

うららは、雪の幼少期の思い出と
「大事なモノは大事にしなきゃダメね」の一言に背中を押され、
コミケ出店予約をし、
昔もらった漫画家セットを
引っ張り出し、描き始めるが、
「これを本にして人に売る?」
ノリで走ったことを後悔し、
断りたい、逃げたい
ダメ女子な雰囲気がスキ

プロデューサーと読者
雪は印刷会社を予約し、
締切を決め、うららの外堀を埋める
60年前の自分がやりたかったかもしれない
大好きなクリエイティブな作品を
うららに完成させる

デキやカテゴリはどうでもよい
「私、マンガを作ったの!」
語りかけた相手は
うららと雪が友達になったきっかけを
作ったBLマンガ作家コメダ
自分の作品で友情が芽生えたこと
触発されてマンガまで作っていること

コメダはそのマンガを買い、
サイン会で感想を雪に伝える
行き詰づまっていたこと
元気をもらったこと

うららの「完璧な1日」を
作ったのは誰だろう
緩やかに繋がる3人の縁と記憶
どこかで重なりあう時があるかもしれないから、明日も生きていく

「うらら&雪」が歌うエンディングテーマは、ゴツいが肩の力が抜けていて、
爽やかな読後感のようで、スキだ
はろ

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