HAYATO

アウトフィットのHAYATOのレビュー・感想・評価

アウトフィット(2022年製作の映画)
4.3
2024年61本目
渋くて面白いお仕事映画
『ブリッジ・オブ・スパイ』でアカデミー助演男優賞を受賞したマーク・ライランス主演のクライムスリラー
『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』でアカデミー脚色賞を受賞したグレアム・ムーアが監督を担当。
1950年代のシカゴを舞台に、仕立店の店主であるイギリス人裁断師が、図らずも??とあるマフィアの組織内の争いに巻き込まれていく様を描く。
共演は、リー・トンプソンの娘さんのゾーイ・ドゥイッチ、ミュージシャンとしての一面も持つジョニー・フリン、『ラブ&モンスターズ』のディラン・オブライエン、『オールド』のニキ・アムカ=バード、『ターザン:REBORN』のサイモン・ラッセル・ビールなど。
タイトルの”Outfit”は、「衣装」の意と1920年代の禁酒法時代以前からシカゴを支配したマフィア組織の名前とを掛け合わせたものになっている。
仕事のこだわりを語るモノローグとともに、淡々と衣服の仕立てを行う主人公の姿を映したオープニングがすごく良い。
小さな店の中というワンシチュエーションで一晩の出来事を追っていくストーリーながら、何か引っかかる怪しさが終始残り続けるので飽きることなく楽しめた。
マフィアの欺き合いと殺し合いが繰り広げられる中、上手いこと立ち回る主人公の謎めいた雰囲気に惹かれ、マーク・ライアンスの見事な演技が、「優しい紳士」の仮面の裏側で何かを企んでいそうな予感を抱かせる。
思いもよらぬ方向へと進んでいくラストは必見。
こんなにも完成度の高い脚本のエンタメ映画はそうそう見られないと思う。
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