いち麦

1950 鋼の第7中隊のいち麦のレビュー・感想・評価

1950 鋼の第7中隊(2021年製作の映画)
3.0
朝鮮人民軍兵士はほぼ登場せず…朝鮮戦争が中国軍とアメリカ軍との間で戦われた代理戦争であったことを映像を通して強く実感できる。自ら従軍に加わった軽薄な弟に、武勲豊富な中隊長の兄が実戦下で軍人の心構えや覚悟などを教育していく人間ドラマが盛られている。わざわざ朝鮮国領土にまで押し入って繰り広げるこの戦いが「朝鮮の朋友たちの為に」ではないことは明らかだが中国共産党の本音は勿論描かれていない。その点でも「未来の平和のために…」なんて台詞が何よりも嘘っぽく響き、今の若者を対米戦争へと向かわせる中国プロパガンダ映画というイメージが非常に強い。ただ、チェン・カイコー、ツイ・ハーク、ダンテ・ラム…と中国・香港の名監督の作品だけはあって映像が美しく見えるほど見応えある。特に巧みなライティングと絶妙なカメラワークの賜物だと思う。
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