百花のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

映画を比べるのは野暮だと感じながらも、同じ認知症を題材にしているということもあり、『ファーザー』が常に頭の中をよぎっていた。そのため、忘れる側と忘れられる側が辛い思いをする様子を描くにとどまらず、その先に何を描くのかで本作のオリジナリティを発揮することに期待していた。しかし、結局「その先」は描けていなかったように思う。

自分自身、祖母が認知症を患っていたゆえに何らかの救い、否、救いでなくとも2人がこれからどのような道を辿ってゆくのかを垣間見させてほしかった。その道がたとえ苦しいものでも、それを見せてくれるだけで私には救いになるのだ。

あとひとつだけ。お願いだから、カメラを止めてくれ、、と思ったのは私だけだろうか。本作のショットの多くはもちろん、FIXであろうショットも手持ちカメラ特有の手ブレがあり、カメラが動きすぎるために酔いそうになった。個人的な体調を抜きにしても、同じようなカメラワークを多用しすぎるために肝心のショットでその演出的効果を十分に発揮できていないように感じた。まあ、これもあくまで個人的な感想に過ぎないが。