Jun潤

ウルトラマントリガー エピソードZのJun潤のレビュー・感想・評価

3.8
2022.03.29

テレビ本編視聴済み。
何気に初めて劇場版ウルトラマンを映画館で観ます。
1996年放送の『ウルトラマンティガ』をコンセプトととし、リメイクやリブート、続編ではない全く新しい世代のウルトラマン作品『ウルトラマントリガー』の完結編であり、劇場版が制作されなかったシリーズ前作『ウルトラマンゼット』とのクロスオーバー作品。

ウルトラマントリガーとして、マナカケンゴが闇の三巨人を倒し、暴走するエタニティコアを鎮めるためにコアと同化してから2年、世界は再び怪獣の危機に晒されていた。
超古代文明を崇拝する集団・ライラーの暗躍と、彼らの目的が光が滅びないようにエタニティコアからケンゴを分離させようとしていることと知ったGUTS-SELECTの隊員は、新しい隊長・トキオカと共にケンゴをエタニティコアから取り戻す。
コアと分離した際にケンゴは変身能力を失い、現れた怪獣たちに圧倒される隊員たちだったが、そこにセレブロを追って別宇宙から再び現れたウルトラマンゼットとハルキが助太刀に入る。
変身能力を取り戻すため、キーを集め出す隊員たちだったが、そこにセレブロに乗っ取られたライラーの妨害を受け、ハルキはセレブロに乗っ取られてしまう。
そして、トキオカが超古代に生きていたライラーの主導者・ラジルだと判明し、彼らの真の目的は光を消して自らが地球を支配し人類を導く光となることだと明かした後、トキオカはイーヴィルトリガーに変身する。
果たして、トリガーと、地球に再び現れたトリガーダークことイグニスは、セレブロに乗っ取られたハルキを救い出し、イーヴィルトリガーを倒すことができるのか。

いやはや、最近はニチアサの方しか劇場版を観ていませんでしたが、こちらはさすが円谷作品、特撮としても、ウルトラマン作品としても楽しませてくれました。

まずトリガーの完結編として観ると、主人公の自己犠牲という、最近の傾向からするとビターめに終わったテレビ本編から地続きに、トリガーはなぜ人間の姿で生まれ変わったのか、ケンゴは人間として笑顔になれるのかという、テレビ本編を観ていたからこそ楽しめるし、救いのある内容になっていました。
また、テレビ本編終了から時間が経っていましたが、ちゃんとトリガーの特徴でもあるタイプチェンジを、特撮としても作劇としても活躍させていたのも好印象でした。

そして劇場版が制作されなかったウルトラマンゼットの追加エピソードとして観ると、セレブロがハルキを乗っ取るという、よく考えてみればそういう可能性もあったよななんてエピソードを魅せてくれて大満足でしたね。
トリガーがメインなので、ハルキとゼットの絆だとかかつての仲間との絆だとかには言及されず、ハルキ自身の気持ちによるところが大きく、あと便利剣のベリアロクの印象強めでしたね。

また、劇場版として観ても、例年の劇場版ウルトラマンは観ていませんが、ウルトラマンらしい特撮場面に加えて迫力あるウルトラプロレスに、ライダーや戦隊とは違うシンプルなスーツのウルトラマン同士による殴り合いなど、見応え抜群でした。
話としても、自らの力及ばず光に頼るのではなく自分たちが光になろうとするライラーたちの目的に、その目的のためにトリガーによるエタニティコアの沈静とキーの回収と変身が必要で2年要したことも、作劇上違和感もないしきちんと言及されていたしで印象的でした。
あとはラストバトルの演出がテレビ本編後期EDからのOPをバックにするなんてのもド熱かったです。

キャラクターについては、GUTS-SELECTの面々がテレビ本編で掘り下げられていた分その魅力を発揮していましたし、相変わらずツンデレするしお化け屋敷で怖がるなんていう萌え要素まで出していたアキトが完全にヒロインしてましたね。
ユナがキャラ説明とエタニティコアからの回収要員に終始していたせいでもありますが…。

演技については、アキトを演じた金子隼也の叫びの演技がまた成長していたのと、ハルキを演じた平野宏周のセレブロの乗っ取り演技がまた映えていましたね。
しかしなんといっても今作はトキオカを演じた中村優一でしょう。
序盤の演技は、仮面ライダー『響鬼』『電王』で主要キャラを演じていて年齢も30代半ば、それにしてはちょいと好青年感しか出せてないなと思いきや、中盤でトキオカの真意が判明、そこからは作品ごと巻き込むほどの表情演技を魅せてくれましたね。
これは驚きましたし、昔から見てる俳優さんがここまでの演技をするようになるのを観れるのは嬉しかったですね。

世代的にはウルトラマンティガド直撃ですが、なにぶん記憶が曖昧で…、しかしティガの中でも印象的な「ウルトラマンとしてではなく人間としてできることをする」というのを、新世代のティガであるトリガーとしての解を魅せてくれました。

さて、今年はいよいよ『シン・ウルトラマン』が公開となりますね。
今までは『シン・ゴジラ』にヒーローが登場するver.としてしか期待していませんでしたが、今作を観てウルトラマンとしての映像の魅せ方や楽しみ方が掴めたので、一層楽しみになりましたね。
Jun潤

Jun潤