Jun潤

トラペジウムのJun潤のレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
3.7
2024.05.15

元乃木坂46・高山一実原作。
アニメーション製作はCloverWorks。

城州東高校に通う東ゆうは、西南北の地域それぞれの高校に通う少女と繋がりを持つため奔走していた。
テニス勝負やロボット大会、ボランティア活動を通して、華鳥蘭子、大河くるみ、亀井美嘉と交流を深めていく。
ゆうが抱く夢、それは東西南北の少女たちでアイドルグループを結成すること。
ゆう達の地道な活動が身を結び、注目を集め、ついに「東西南北(仮)」としてステージに立つ。
ゆうが思い描いてきた通り、“アイドルとして”輝き続けられると感じたのも束の間、“アイドルだからこそ”の苦悩や壁に直面することとなる。

最近坂道シリーズにハマり出し、かずみんのことも過去の放送回などを見て好きになってますが、原作・監修のお立場とはいえ、なるべく推し活目線は避けてレビューしてみます。
良くも悪くもアニメーション作品だなって感じでした。
CloverWorks製作のアニメはよく見ますが、今作はこれまでの作品よりも頭一つ出て気合いが入っている印象です。
登場キャラたちの細かい動きなどは京アニ作品を見ているようでした。
背景も写実的で綺麗だったものの、気合いを入れる方向がアニメではなく実写に向かっていたような気がして、キャラの動きとマッチしていない場面もちょこちょこあったのは気になりました。
キャラクターの表情についても、中盤頃まではおや?となる場面も少しありましたが、ゆうの感情が発露する場面やストーリーの重要ポイントではきっちり良作画を持ってきていました。

ストーリーについては、かずみんや乃木坂メンバーの顔が頭をよぎると裏ではこんな感じなの?と現実に持っていかれそうになりましたが、大人数アイドルが現実だけでなくアニメの方でも飽和状態にある昨今の流れの中で、メンバーを4人に絞っていたので、一人一人の心情を汲み取りつつ、女子高生たちの成長物語やアイドルとしてのサクセスストーリーとして楽しむことができました。
序盤の仲間集めや中盤のアイドル活動がダイジェストになっていて前半に散りばめられていたキャラの感情が置いてけぼりになっているのではと思っていましたが、キラキラしているだけがアイドルではないのと同じように、アイドルになった後、アイドルとしてどうあるべきか、一人のアイドルではなく一緒に仕事をしていくグループの一人としてメンバーに向き合っているかどうかを描いているような後半で前半の描写を回収していて、作品としての満足度も結構高めです。

プロモーションの段階から“元乃木坂メンバーによる原作小説の作品”が前面に出されていて、秋元康のプロデュースやら乃木坂メンバーや関わりの深い芸人をモチーフにしたキャラクターがもっと出るのかと思っていましたがそんなこともなく。
かずみんとなーちゃんが脇役で出演して「工事中で会いましょう」という謎の番組名が出てたぐらいで、物足りなさというか、むしろもっとやっても特に問題なかったのではないかぐらいな感じもしました。
まぁあまりやりすぎても原作者のアイドル時代の顔が浮かんだり現実に引き戻されそうな気もするので、実際今作ぐらいの塩梅がちょうどいいのかもしれませんね。
Jun潤

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