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すずめの戸締まりのkitoのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.5
少しモヤモヤしたけれど楽しめた。

日本特有の神話、神道っぽい背景のファンタジーで、ストーリーは写実的に描かれたロードムービーとして進み、ほっこりする出会いが起こる。そのうえメインはファミリードラマであって、女子高生の恋物語だったりもするという、てんこ盛りな内容。

本作では地震を起こすものとして一般的に言われている「なまず」が「みみず」に置き換わっている。そのあたりをググると、そもそも歴史的な経緯ではなまずだけではなく大うなぎや大蛇、龍などという色々な言い伝え⁈があるそうな。まあ、八百万のお国柄なので、種々の思いが渦巻いてるのだろう。

序盤から「もののけ姫」に出てくるデイダラボッチを思い出し、クライマックスではきっと何かで見た八岐大蛇(ヤマタノオロチ)なども頭をよぎり、いささかデジャブが強めだった。

少しモヤモヤしたのは、そもそもヒロインが要石を抜いちゃったのが事の起こりやん、ということ。でもまあ、誰かが何かをしでかさないとドラマが始まらないのは古今東西の必定。

新海誠監督は本作について「今出せば、『こういうこと(東日本大震災)があったんだ』と記憶を保てるのではないか」とインタビューで答えている。なるほどね、私は一生忘れないと思うけれど、後々の世代にとって本作が東日本大震災に関心を抱き続けるひとつのきっかけになると良いなあと思う。
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