エブリデイねむろう

すずめの戸締まりのエブリデイねむろうのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.0
「君の名は。」の新海 誠による劇場用オリジナル長編アニメーション。
監督・脚本:新海 誠

宮崎県で暮らす女子高生・岩戸鈴芽は奇妙な夢に悩まされていた。
ある日の登校中、鈴芽は夢とそっくりの青年・宗像草太とすれちがう。
いつもと変わりない学校の昼休み、突如として「緊急地震速報」が鳴り響くのだった。

災禍を招く「どこでもドア」を閉じていく話。

霊体ミミズ、そして東京のカラス。
これは…白石晃士ユニバースじゃな?(ちがう)

悪しきちからによって地震が引き起こされるという寓話。
そのちからを封じこめる「閉じ師」。
非常に日本的な伝奇もの。
時代が時代なら絶対監修に「荒俣 宏」がクレジットされてるやつ。

巨大地震の災禍から日本を守る者の物語。

サスペンスとしてはおもしろいが、ロードムービーとしてはイマイチ。
中盤の展開を思うと舞台は東京一本に絞ったほうがよかったように思う。
それに、無一文の女子高生が成り行きで旅に出るというシチュエーションでロードムービーやるのは、ちと厳しい。
この設定だとどうしてもご都合主義に頼ることになるし、実際そうなってしまっている。
結果として脚本の強引さばかりが目立ってしまうし、しかも、無茶を押してそれをやったことが後半にまったく活きてこない。

そもそもなぜロードムービーをやろうと思ったのか。
地震をテーマにしているので日本各地を舞台にしたかったのはわかるが、監督がやりたいのはただのラブロマンスなので、こことの食い合わせも最悪。
(「君の名は。」では奇跡的に噛みあわせがよかった)

鈴芽をはじめとする女性キャラもなかなかキッツイ。
新海 誠の好きな女がメンヘラタイプなのがよくわかる。
特に叔母さん。
あの長文LINEは変な汗が出る(トラウマ)。

「君の名は。」でも感じていたことではあるが、正直、新海 誠の女性観はわたしにはまったく合わない。
「そんな女いねぇよ」と「その女やべぇよ」しか感想が出てこない。

なんというか、かつて男性主人公でやっていたヒロイックサーガの文脈を女性主人公にそのまま充てると、どうしてもこうならざるを得ないのかなという感じ。
これも時代なんだろうが、やっぱ女が男を救う話より、男が女のために死ぬ話のほうがわたしにはしっくり来る。

所詮、わたしもおっさんなのである。

個々のキャラクターはとてもよい。
相棒がいきなり椅子になる展開は笑う。
芹澤と書いて"圧倒的被害者"と読む。

というか、本作のMVPはまちがいなく芹澤だと思う。

しかしまぁ、新海 誠はほんとうにMOBの扱いが雑である。
特に、補助的な役回りをこなすキャラに対する冷淡さはちょっと引くレベル。
こういうところも合わない理由かもしれないなぁ。

やっぱ新海 誠の作品とは相性合わんです。

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