メンヘラ中年女と黒人ヤリチン男が人生に蘇る物語。だが、舞台が映画館である必要はあまり感じない。「映画を観る時、我々は光とともに闇も観ている」というセリフがあったけど、この物語で映画と人生をダブらせるのはちょっと無理があるような気がする。
オリヴィア・コールマンは最高の演技を見せているし、アッティカス・ロス&トレント・レズナーの音楽は2人のこれまでの映画音楽の中で一番グッと来た。ロジャー・ディーキンス撮影の素晴らしさは言わずもがな。カッティングも心地良く、演出の類は完璧と言って良い。
だが、肝心のストーリーがサム・メンデスの好きなものと流行の路線を詰め込んだだけの未整備な内容で、体感時間は思ったよりも長かった。