toume111

私の親友、アンネ・フランクのtoume111のレビュー・感想・評価

4.7
アンネフランクの友人であるハンナ(ハンネリホースラル)視点でのホロコースト体験及びアンネとの青春時代を描写した映画。

ナチスによるユダヤ人への迫害政策が日増しに強くなり、ゲシュタポによる強制移送がいつ訪れるとも分からない恐怖の時代。

昨日まで一緒に学校へ通っていた友人一家が、ある日突然ハンナの目の前で連行されていくシーンは、そう遠く無い近い未来の自分の姿だと恐怖させられる。

そんな中、ナチスの魔の手から逃れる為アンネ一家は父オットーの会社の屋根裏部屋に引っ越し、2年に及ぶ隠れ家生活を始める。
アンネは父オットーに禁止され、ハンナにも、当時一番の親友であったジャクリーヌにも誰にも行き先を伝えることは出来なかった。

ハンナとジャクリーヌ(とは今作では明確にはされていないが)がもぬけの殻になったアンネの家に訪れるシーンがあり、その時のハンナの落胆具合にアンネとの友情を強く意識させられた。

アンネに関しては、映画「アンネフランク 真実の物語」が史実に正確に描写されており、俳優達の名演もあってアンネの決定版だと個人的には思っている。

その映画でベルゲンベルゼン収容所での二人の塀越しの再開、捕虜交換用の別の収容区にいたハンナが塀越しに投げ渡した食料をアンネが受け取るシーンがあるが、今作ではハンナ側の視点でのアンネとの接触の為の苦労や危険が細かく描かれていて、非常に興味深かった。

ホースラル一家は父が以前ドイツ高官であったこと、パラグアイの偽造旅券を所持していたことで、ドイツ人戦争捕虜との交換用捕虜としてアンネとは比べ物にならない待遇で収容所生活を送っていたが、それでも緊張に包まれた悲惨な収容所生活や、アンネに食料を渡すにはかなりのリスクと覚悟、周囲の囚人による協力があってこそだったのだと認識することが出来、収穫は大きかった。

この映画単体で観ると少し分かりにくいと思う部分もあるが、上記した「アンネフランク真実の物語」と合わせて観るとより理解が深まると思います。
toume111

toume111

toume111さんの鑑賞した映画