このレビューはネタバレを含みます
原題は"Marco Effekten"。
カールがニコライ・リー・コスからウルリク・トムセンへ、アサドがファレス・ファレスからザキ・ユーセフへキャスト変更。
ググってみたところ制作会社の変更が理由のキャスト一新らしいが、なんだか別のシリーズのようである。
数年から数十年にわたって秘密を隠してきた被害者が復讐する、みたいなシリーズに共通するモチーフはなくなっている。
コスによる不安障害の表す演技は絶品だったんだな、と思った。トムセンも悪くはないが、どちらかと言うとただの偏屈親父のように見えてしまう。アサドが目立たなくなっており、後景に下がってしまっているのが残念。
プロットも映画を観ただけではあまり分からない部分があった。ロマの少年マルコがどうやって殺された元外交官と知り合ったのか、どういうシチュエーションで彼はマルコに娘へのネックレスを託したのか。原作を読めば分かるのかもしれないが、こういうディテールを繊細に表現していたのが前シリーズだったと思う。
このシリーズ特有の「長い間封印されていた秘密の暴露」は、本作ではマルコの長い沈黙とアフリカへの支援金横領を指すのだろう。少年が沈黙を保たざるを得なかった理由は痛ましいのだが、前シリーズまでにあった「個人の中に閉じ込められていた数年、数十年に及ぶ秘密や因縁」というわけではないので、特色が薄れてしまった感じは否めない。
なんだか普通のミステリー映画になってしまつた。