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PLAN 75のPalenicheのレビュー・感想・評価

PLAN 75(2022年製作の映画)
3.5
まずやはり、人が真に老いるのは75歳くらいからだという感覚は、一般的なものなのだなと感じた。逆に言うと、70歳くらいまでは、気力も体力もまだ十分にあり、生きるための活力が湧いてくるのだろうなとも思う。

倍賞千恵子ほど美しい人でも、80歳くらいになると確実に老いるのだということが衝撃的である。十分に美しいのだが、やはり老いている。

どんなに死にたくても、なかなか死ぬことができない現在において、PLAN75が実際に承認されたら、果たしてどのくらいの人がそれを選ぶのだろうかと思う。自分は確実に選ぶだろうと思っていたが、この映画を観終わった後だと、どうもそれも怪しい。

どうやって老いて、どうやって死ぬべきか。今までも考えてきたつもりではあるが、この映画ほどリアルな未来を想像させるものはなかった。絵空事ではなく、長く生きるために必要なことや、準備しておくべきことなどを考えるよい機会になった。少なくともまだだいぶそこまでに時間があるので、働けるうちは働いて、社会の中で周囲と共存していきたいと思う。いつか必ず一人になるときが来て、そのときには、長い長い孤独が待っているのだろうから。その時間をどう使うのかについて、今からいろいろ想像しておくのもよいかもしれない。なんだか、死にたいのか生きたいのかがよくわからなくなってきた。分からないくらいがちょうどいいのかもしれない、とも思う。いろいろな人の感想を聴いてみたい映画だと思った。
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