ボサノヴァ

ハッチング―孵化―のボサノヴァのレビュー・感想・評価

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
4.0
少女が小さな胸に秘めた「憎悪」の分身としての卵。そこから産まれたモンスターを「隠す」という子どもの部分と、「育てる」おとな(母性)な部分の葛藤表現が見事な思春期ホラー。

少女の母親がしでかす自己愛に基づく行動=子供っぽさが、母親という「立場」に基づく母性性との対比表現として描かれ、つまりは、一人の女性として娘と何ら変わりのない存在である事を示す。この辺り、最近観たカモンカモンやTITANを俯瞰したようなテーマになっているのが興味深い。

ところでこの映画はモンスターがなかなか気持ち悪くて、北欧の建造物や風景の明るく静謐な美をぶち壊す意味でも良いスパイスになっている。とくに第1形態の造形は、近年のクリーチャーの中でもトップクラスに怖かった。
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