3DCGアニメでここまでカメラ・アングルに魅了されたのは初めてかも。
中世っぽい世界観の中で、海の怪物と、それを退治するハンターの対決を描いているのだが、冒頭から船酔いしそうなほどの豪快なアングル。どちらかが上で、どちらが下? あっという間にこの躍動感あふれる世界観に引き込まれた。
冒頭で退治される怪物を見て「何故彼らは嫌われているの?」と素朴な疑問を抱いたのだが、正に本作のキモはそこで、権力者による恐怖政治や情報操作が存在するというストーリーが用意され、現代の差別や戦争に通じるメッセージを盛り込んだ作品でもあるのだ。
劇中で何度も登場するロープは、人を縛る権力や制度の象徴なのだろう。それをナイフで切ろうとするのが、登場人物の中で最年少の少女メイジーである事に感動する。そして、彼女の邪魔をする者、あるいは助けようとする者が誰なのかを考えた時に、作品への理解が更に深まるのである。
数多く公開されている配信系アニメの中から、本作を見出しノミーネトしているアカデミー賞は、やはり侮れない。