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キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性のkassyのレビュー・感想・評価

3.5
オンライン試写にて

アクターではなくムービースターシステムだったハリウッドのキャスティングのスタイルを変えたキャスティングディレクター、マリオン・ドハティをメインとしたキャスティングディレクターの仕事に迫るドキュメンタリー。

マリオン・ドハティと一緒に仕事をした監督・俳優達のインタビューがふんだんに使われているが、その豪華な顔ぶれには圧倒された。
しかし、どれもこれもがみな今より少し若く、映像も古めかしい。それもそのはず、本国では10年前に公開されたドキュメンタリーだった。色々事情はあるのだろうが、なぜ今更公開になったのだろう?

映画の成功は9割がキャスティング。
映画の中でマーティン・スコセッシがそう語っている通り、役により良い俳優をアサインする重要な仕事であり、マリオン・ドハティがいかに仕事ができて頼られていたかと言うことがこのドキュメンタリーを通して学ぶことができるが、それに合わせてキャスティングという職業の地位がいかに低いかということも知ることができる。

米国アカデミー賞には未だに専門の賞はなく、"ディレクター"という肩書きも監督に嫌がられるのだそうだ。
監督はあくまでも監督ただ1人であり、撮影監督や美術監督はしぶしぶ許している。
ただキャスティングは監督も決めてるから不透明すぎてだめだ。ということらしい。
撮影だって美術だって結局監督に決定権がある。じゃあキャスティングだって監督という肩書きを使ったっていいじゃないのか?というのがキャスティングディレクター達の言い分。

専門性がいまいちわかりにくいからなのだろうか?
アメリカの近代映画史の移り変わりに左右されている事からも、軽視されていることが伝わってくる。

スタジオ契約スターシステム→俳優独立に伴い、キャスティングも独立→スタジオが優秀なキャスティングディレクターと契約→90年代に再び客を呼べるスターシステムへ

簡単にまとめると近代史はこんな感じだったが、今は客を呼べるスターがかなり減ったので、また実力主義になっている気がする。
時代は繰り返すのかもしれない。

それにしてもダスティン・ホフマンやアル・パチーノやジョン・トラヴォルタやジョン・ヴォイドのデビュー当時のキャスティング話はすごく面白い!過去の名作を沢山見たくなる作品だった。
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