nt708

今夜、世界からこの恋が消えてものnt708のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

食わず嫌いは本当にダメだと痛感した。鑑賞前はどうせ流行りのエモい系映画とたかを括っていたのが、恥ずかしい。恋愛以上に、人間にとっての記憶について考えさせられる素敵な映画だった。

人間、往々にして忘れたい記憶ほど忘れられず、忘れたくない記憶ほど忘れていくものである。自分にとって大切な人の記憶は、声から忘れていって、最後に香りだけが残るのだと言う。それでも「手続き記憶」のように身体が覚えている記憶があって、それがふと現れてくるときになんとも言えない気持ちになる。本作はそんな残された者たちを優しく包み込んでくれる良作なのである。

物語の筋こそ王道ではあるものの、扱っている題材、ひとつひとつのエッセンスが生み出すハーモニーが素晴らしい。強いて言うなら、泉が何故あそこまで良い子でいられたのかが気になるところだが、、単なる友情では片付けられないし、透に対する恋心にしても、あそこまでするだろうか、、こればっかりは観客の感じ方次第といったところなのだろう。

いずれにしてもこれだけ人気な理由がわかるぐらいの素晴らしい作品で、誰が見てもそれぞれの視点で楽しめるのではないだろうか。上映期間が終了する間際の飛び込みだったが、横着せずに劇場に足を運んで良かった。
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