このレビューはネタバレを含みます
こんな設定と人物配置で物語を構築しようとする人は他にいないのでは。深田監督はやっぱり日本映画(における作劇)の最前線を突っ走ってる感があります。社会派な要素も散りばめながら、ほどよく通俗的=エンタメなところも巧みです。
感動的だったのは「本気のしるし」に続いて、エンディングがポジティブだったこと。深田作品は、有能な外科医のごとく怜悧な手付きで世界や人間を解剖していきますが、以前はそれが多少厭世的に作用していたような。しかし近作では世界や人間のグロテスクさをえぐり出したうえで、それらを丸ごと肯定しようとしていて、その成熟を好ましく感じました。