まるたけ

ファースト・カウのまるたけのレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
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こういう映画を見ると、つくづく自分の根っこはパリピなのかもと思わされますね…

チリチリとささやかな火花を散らしながら、今か今かと待ち構えるこちらの期待をよそに、特段の盛り上がりを見せることなくあっさりと溶暗する、線香花火を見てるみたいな121分。

予習なしで見た自分は、タイトルと気鋭の女性監督という情報だけで、勝手にクロエジャオ「ザ・ライダー」のような新機軸のカウボーイ映画を妄想していたのですが、まったくの見当違いでした。

アメリカ開拓時代に、牛の乳を盗搾して作ったドーナツで、一山当てようとする貧しいパン職人と中国移民の友情譚。いや、そういう建て付けにはなってるけど、その友情もいつ芽生えたのか、深まったのか…

でも、この作品を見ていてわかったことがひとつありました。それは、映画においては建物の存在がとてつもなく重要だということです。

野外のカットでは背景を豊かにし、室内のカットでは画面に奥行のレイヤーをもたらしたり、光の表情を複雑化したり、あるいは人物の動線を限定して、カット割りの妙を堪能する場を構成しているという意味で。

しかし、雑木林と掘立小屋で構成されるこの映画の画面からは、そうした愉しみさえほとんど奪われていたのですよ…。パリピおじさん的には、地味でもいいから、線香花火じゃなくて、打ち上げ花火が見たかったんだよなあ。ウェーイ
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