2024年53本目
『ヒメアノ〜ル』や『空白』などを手掛け、5月には石原さとみさん主演の『ミッシング』の公開を控える吉田恵輔監督作
ムロツヨシさん演じる心優しい男が、合コンで知り合った岸井ゆきのさん扮する底辺YouTuberの動画制作の手伝いを買って出るが、あることをきっかけに2人の関係に亀裂が生じ、動画を通して互いを罵る大バトルへと発展していく。
『街の上で』の若葉竜也さん、『ミッドナイトスワン』の吉村界人さん、『笑いのカイブツ』の淡梨さん、『見えない目撃者』の栁俊太郎さんらが共演。
吉田監督作らしい人間のいや〜なところが凝縮された作品で、良きパートナーであった2人が、「見返りを求める男」と「 恩を仇で返す女」へと豹変していく様がコミカルに描かれている。
『ハッピー・デス・デイ』や『ゾンビランド：ダブルタップ』など、オープニングロゴに仕掛けをしている作品が好きなので、邦画にしては珍しくそれが施されている本作には導入部分から心を掴まれた。
成功に漕ぎ着けた人間があたかも自分だけの力で成し遂げたことであるかのように振る舞い、善意から支えてきた人間がそれにブチギレる。
人間の奥底に眠るエゴのぶつかり合いに気恥ずかしさを感じ、その醜い争いがYouTubeという媒体を通して赤の他人にまで可視化されていく痛々しさは目を背けたくなるほど。
主人公の2人以外にもめちゃくちゃ嫌なキャラクターが多数登場して、どいつもこいつも反面教師にしたいような奴らばっかり。
底辺YouTuberが売れていくにつれ性格が悪くなっていく一方、どんどん可愛く魅力的になっていくのが印象的で、岸井ゆきのさんの表現力は流石の素晴らしさだった。
吉田監督からYouTuberへの皮肉や風刺をたっぷり感じる内容であった。
