え、これ、あの俳優の斎藤工監督作品なの？
正直、まだ若いイケメン俳優なんかが撮る作品なんて・・と舐めてかかったら、なかなかの傑作。WOWOWのオスカー授賞式生中継にゲスト出演したりと映画評論家としての肩書きもあるのも納得。古今東西の色んな作品を見て勉強しているんだろうな。
本作はジャンルはホラーになっているが、まあ若干ネタばらしにはなってしまうがサイコスリラー。終始静かなトーンで話は進んで行くが、脚本が良く練られている。主人公が過去に封印した記憶がクライマックスで明らかになるまでの描かれ方や撮影手法などかなり秀逸。
キャストがまたいい。主役の窪田正孝の、どこにでもいそうな等身大の若き父親そのもののテンション低めの常に受け身の演技、妻を演じた蓮佛美沙子も一見明るく家族に愛情を注ぐ天真爛漫な女性像でありながら、物語の展開に大きく関わる“腹の底では何を考えているのか分からない”ミステリアスな要素も上手く表現出来ている。奈緒も好演。
主人公の日常生活をヒタヒタを侵食してくるある者の狂気を描きながらも、エンディングは衝撃的で確かにホラーと言ってもいいくらい、別の意味で怖い。
