Scratchy

螢火のScratchyのレビュー・感想・評価

螢火(1958年製作の映画)
5.0
よくできたおかみさん淡島千景お登勢の今は昔、誰が百姓のって式に出ない三好栄子に初夜から伴淳が見せる潔癖の気。中風で寝たきりの三好栄子が素晴らしい憎らしさでいびりいじめ左利きはカタワだって直させる、知らぬ顔の伴淳はともかくミタナミタミタからくり人形。耐え抜く千景さんが機械のような不気味さを帯びてくる。口さがない沢村貞子と同じようにやっと死んだかと思ってしまうと最期の言葉で後口悪くさせる三好栄子。手塩にかけて育てた姪も奪われる畳み掛け素晴らしい。どのへんだったか沢村貞子がおさんどんの最中に手拭いで脇から胸元から拭うとこ性格出ててよかった。今は今、物騒な世になって伴淳は掃除ではなく浄瑠璃に凝ってる。番付載ったって自慢して若尾文子に披露しようとしたとこでぶちんと切られる伴淳。坂本龍馬が逗留しはじめてからそわそわしだす千景さんと若尾文子、佐竹明夫を討ちにきたときの騒動での千景文子の眼差しは怯えだけじゃなくて憧れも混じってたのか。伴淳の妾が乗り込んできたとき、面会前に二人とも化粧直しするけど実際に対面してみるとその意味も違うようでおもしろい。寺子屋の経営に若尾文子との関係と良好に見えた生活と龍馬との淡い夢想が一日で崩れていく千景さん、取り急ぎ別れる嵐の材木置き場。すべてが流れ去り戻ってくる伴淳、妾に逃げられたようなもんだけどあいつも気立てのいい女だとか言ってるけど、千景さんに萎縮してる伴淳の産めるよなにささやかな前途が顔を覗かせる。なにもかもみんな川に流してしまいましょ。川はまた新しい客を連れてきて、水車のように順繰り順繰り。
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