MCらんた

宇宙探索編集部のMCらんたのレビュー・感想・評価

宇宙探索編集部(2021年製作の映画)
4.0
UFOオカルト宇宙人系雑誌の編集部~の題材から期待してたコメディタッチから切実なドラマになっていくストーリーも面白かったけど、ドキュメンタリータッチの映像の合致具合が凄く良かった。と言うか、その手があったか!という感じ。

ネットには「フェイクドキュメンタリー」「POVもの」みたいに紹介されている文章もあるけど、それは間違いのはず。「映像や編集の質感は近年のフッテージものだが構成は完全に劇映画」。説明が難しいんだけど、「存在しないカメラが撮ったドキュメンタリー」と言えば良いかしら?
それでいて、たまにあるダメなフェイクドキュメンタリーのようなただただフッテージものとしての演出が徹底されていないだけの質の低さみたいなのが一切なくて、文体と内容の齟齬が見事に融合した映像になっていた。本当に、その語り口があったか!と思った。
例えば途中にインタビューパートがあるんだけれど、作品世界の中では、プロット上、そこに誰もおらず回ってないはずのカメラに向かってしゃべってて(「刃牙」のインタビューパートみたいな感じ)、それが劇映画の中にまったく違和感なく配置されてる。
古風な「ドキュメンタリー”タッチ”」って元々そういうものじゃない?とも言えるんだけど、それを近年のファウンドフッテージもので、高い徹底の元でやってるから本当に新鮮なものに感じた。
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