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ナショナル・シアター・ライブ 2022 ストレイト・ライン・クレイジーのchaooonのレビュー・感想・評価

3.7
National Theatre Live in Japan 2022シーズンの第5弾✨最新作✨
トークイベント付き先行上映を鑑賞✨

世界都市ニューヨークのマスタービルダー(創造主)と呼ばれた男、ロバート・モーゼス🏢
彼の独善的とも言える30年に及ぶ都市改造の光と影を描く✨
かの有名なリンカーン・センターを作った人なの😲!?

デヴィッド・ヘア作📕
演出はついこの間『ブック・オブ・ダスト ~美しき野生~』の上映があったまたもやニコラス・ハイトナー!
ハイトナーさんって観客巻き込み型とか、ブックオブみたいな大掛かりなセットとかの作品ばかり観てたから見せ方も音楽とかも派手なイメージだけど、今回はコの字型の迫り出した舞台でセットもシンプルで、役者が引き立つような感じだったなあ✨
二幕目のマンハッタンの大きな地図を敷いてその上に立つの良かった。

主演のモーゼスを演じるのは映画でもお馴染みのレイフ・ファインズ✨
今期のNTLive2022は映画やドラマで活躍してる著名な方の出演多めな印象✨

映画に出てるレイフは好きでも嫌いでもない感じだったけど、今回はすごく引き込まれたなあ✨
舞台って役者の力が存分に発揮されるのだなあと感じた✨

「民主主義は偶然に生まれない」

市民のためと唱え大掛かりな都市改造、道路の開通、ビーチの開放・行楽地化。
その一方で電車やバスといった公共交通手段は排除するという矛盾。
移民が増加していた当時のNYでは劣悪な環境も多く、都市の健全化・緑化のために州立公園を建設🌿スラム街の撤去と衛生的な居住の建設🏢
美しく質の高い都市への改造に貢献したことに間違いはないのだけど、彼の掲げる理想像には偏ったものがあったのも確か。

一方的で傲慢な程の都市計画施策を推し進める姿には、力強さとどことなく無邪気さがチラついて、そんな塩梅をレイフが見事に演じていた✨

彼の行いは正しかったのか、ただの独裁的施行だったのか。
正しさなんてものは時代によって変わるし、価値観や人々の感情によってその判断は変わっていくもの。
新しい何かを生むためには何かを壊さなくてはならない。
一方の視点から物事を捉えたとき、必ず死角は存在する。
反対運動と共に彼の都市計画は頓挫し、彼の輝きの陰りで今作は幕を下ろすけど、彼のような存在が時には必要だという結び。
改めて彼の功績が再評価もされてるのか🤔

モーゼスに権限を与え信頼関係を築いていたスミス市長役にダニー・ウェッブ✨
『リア王』のグロスター卿も凄く引き込まれたけど、今作でのレイフとのやり取りは素晴らしかった👏
逆に言うと一幕はそこ以外は少し退屈だったかな…😇

本編終了後は坂手洋二さんx河合祥一郎さんのトーク付きでした🎤
原作のヘアさんとも縁がある坂手さんによる演出で来年日本でも今作が上演されるらしく、興味深いお話が聞けました👂
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