マヒロ

フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)のマヒロのレビュー・感想・評価

3.0
第二次大戦中の日本は広島で、ドイツより運ばれてきた「無限に生きる心臓」を調査するため研究者たちが集まっていたが、そこに原爆が投下されて心臓は行方不明になってしまう。
そこから15年後、日本各地で人間が行方不明なったり家畜が惨殺される事件が多発し、それと同時に謎の浮浪児が見かけられるようになる……というお話。

特撮作品はそこそこ観てきたけど、今作のフランケンシュタインは顔の特殊メイクを除いたらほとんど生身の人間で、これまでに観た着ぐるみ怪獣たちには無い生々しい実在感があった。サイズはゴジラとかに比べたらそれほど大きいわけでも無いが、その微妙な大きさもまたリアル。
最初は等身大の人間サイズにも関わらず、放射能の影響によりみるみる大きくなっていってしまうフランケンシュタインについて、怪物なのか人間というところで主人公たちの意見が分かれることになるんだけど、ここで対立するわけでもなくあくまで目的はフランケンシュタインの追跡というところで協力関係は崩さないというのがなんかオトナっぽくて良かった。

ある意味タイトルロールである怪獣バラゴンは『大怪獣総攻撃』でゴジラのかませ犬みたいな扱いを受けていたが、今作では地面をぶち割り呑気にダンスとか踊っている人間たちを阿鼻叫喚の渦に巻き込むなどなどなかなかの暴れっぷりを見せてくれる。とは言え着ぐるみの造形の問題なのか妙にヨチヨチした歩き方が何とも愛らしくて、あんまり脅威には感じられないが。パッケージ画像では勇ましく仁王立ちしてるが、こんなシーンは無いし。

とにかく「デカイだけの人間」というフランケンシュタインの存在だけで他のゴジラ作品とは全く違う感触があって、それだけで興味深く観られた。余りにも唐突かつ強引なオチなど、気になるところも少なくはないが。

(2020.183)
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