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Tchaikovsky's Wife(英題)
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『Tchaikovsky's Wife(英題)』に投稿された感想・評価

ギルド

ギルドの感想・評価

4.9
【悪女は一日にして成らず、狂愛と男根で醸成する】【京都ヒストリカ国際映画祭】
■あらすじ
19世紀を代表する作曲家、ピョートル・チャイコフスキー。かねてから同性愛者だという噂が絶えなかったが、自身の人生や世間からの声を変えることを決意する。そして、彼に求愛する若きアントニーナと結婚するが、すぐに限界を迎え…。精神的な苦痛から狂っていく妻・アントニーナを熱演するのは注目の女優、アリョーナ・ミハイロワ。第75回カンヌ国際映画祭(2022年)・コンペティション部門、正式出品作品。

■みどころ
大傑作!
ピアノ協奏曲第1番、交響曲第6番「悲愴」、白鳥の湖、くるみ割り人形… 等で有名なピョートル・チャイコフスキーに関する伝記映画で、彼に求婚したアントニーナ・ミリューコヴァとの結婚〜離婚までの行く末にフォーカスされた作品である。

元々、チャイコフスキーの楽曲は学生時代からよく聴いている馴染み深い人で、同性愛者である話は前から聞いていました。
そんな彼の結婚生活を「インフル病みのペトロフ家」のキリル・セレブレンニコフが描くと聞いて「あの禍々しさがどう反映するのか?」と楽しみにしていた作品です。

実際に鑑賞してみると凄まじく複雑な映画で、伝記映画としての多面的な苦しさを持った人間ドラマの暗さが強い。
そこに「インフル病みのペトロフ家」の作家性が注ぎ込まれる事で
(1)デヴィッド・フィンチャー「ゴーン・ガール」の狡猾で徐々に追い込む「女性の怒り」を複雑にして強くしたような…
(2)今泉力哉「愛がなんだ」の愛の方向性の違いを5段階くらい強烈にしたような…
今までの男性優位社会を扱った映画と何かが違う新次元な映画でした。

伝記映画という歴史を一部切り取ったリアリズムな映画であるが、ストーリーが展開していくにつれて妻アントニーナの目線に翳りが見え始め、見える世界が段々とおかしくなっていく。
まるでゲーム「サイレントヒル」でいう「表世界」から「裏世界」に徐々に変遷し、そこに潜む男性優位社会・男根主義がアントニーナの「情愛」に大きな変化を齎す。
その姿を描き、歴史的な悪女と言われる所以を立体的に描くのが素晴らしかったです。

特にギャスパー・ノエ「CLIMAX」のような俯瞰したショットがアントニーナの神的存在への盲信を強調し、ハエや目配せといった小道具が史実で分かっていても一定量の緊迫感を与えていて良い演出でした。

終盤にはチャイコフスキーの退場によって、不安定な現実でもギリギリ均衡の取れたバランスが崩れてアントニーナの受けた傷が虚構として現出・地続きする様はエドガー・ライト「ラストナイト・イン・ソーホー」の狂気を彷彿させて凄かった!


前作「インフル病みのペトロフ家」が明確なストーリーラインが存在しない現実と虚構がカクテルのように混ざって静かで薄暗い作品だとするならば、本作「チャイコフスキーの妻」はメロドラマある明確なストーリーラインを引きながらも現実から虚構へ徐々に乳化していくアッパーで薄暗い作品!て感じがしました。
伝記映画というジャンル映画の型枠を作って、「国外を出たし友人から資金援助も貰ったし俺は自由に映画を撮るぞ!」という意気込みを感じさせる中盤でしたが後半に進むにつれて「やっぱりペトロフ家の人だ」と思わせる演出・世界観の構築に圧倒される、そんな作品。

キリル・セレブレンニコフ作品なので日本公開される可能性高いと思うが、公開されたら多くの人に刺さる作品だと思う。オススメです!


↓詳しいネタバレ有のレビューはnoteにまとめました↓
https://note.com/leverbalizing_me/n/nfae3fbc1db48
["天才はそんなことするはずない"という盲信について] 90点

大傑作。2022年カンヌ映画祭コンペ部門選出作品。キリル・セレブレンニコフ長編最新作、時代劇は初か?チャイコフスキー夫妻を描いた先行作品であるケン・ラッセル『恋人たちの曲 / 悲愴』は未見。1893年のサンクトペテルブルク、当代随一の作曲家ピョートル・チャイコフスキーの葬儀がしめやかに執り行われていた。そこにやってきたのが"チャイコフスキーの妻"こと主人公アントニーナである。すると、横たわっていたチャイコフスキーはのっそりと起き上がり、彼女に向けてこう言い放つ。なぜあの女がいる?と。物語はそこから1872年まで遡り、アントニーナがチャイコフスキーに出会って狂気的な恋慕を抱き続ける様を描いていく。彼女の感情は天気とリンクしており、特にチャイコフスキーを想っている以下五つのシーンでは、基本的に寒々しい室内が、光線まで見えそうなほど暖かな光に満たされている(他にもあったかも)。①音楽院でチャイコフスキーの講義をドア越しに聞くシーン②結婚前にチャイコフスキーを自室に入れるシーン③結婚式の後で馬車に乗るシーン④チャイコフスキーがサンクトペテルブルクへ旅立つのを駅で見送るシーン⑤チャイコフスキーに遠ざけられながらもキーウ近郊の屋敷で彼を想ってピアノを弾くシーン。特に④⑤に関しては所謂セレブレンニコフ・マジックと私が勝手に呼んでいる、長回しの中で大幅な時間経過のある舞台的な場面転換が含まれており、しかも転換後は光が完全に消えて雨が降り始める(まさに感傷の誤謬)。また、ライティングも非常に素晴らしく、後半にかけて狂気に堕ちていくアントニーナを顔に当たる/当たらない光で表現していたのが印象的。チャイコフスキーとの最後の繋がりとして残していたピアノが回収される寸前に、男たちが抱えあげて窓から半分出てるピアノを弾くアントニーナの絶望した顔に当たる絵画的な光の美しさたるや。

興味深いのは、アントニーナ本人からチャイコフスキーへの狂気的な恋慕の核が見えてこないことだろう。一番最初の一目惚れシーン以降は、1秒前(=どうして愛してくれないの)と1秒後(=愛してくれるかもしれない)しか考えてない数学的帰納法みたいな描き方をしているので、意図的にはぐらかしているのだろう。ここで引用したいのはセレブレンニコフがインタビューで述べた言葉である。要約すると、チャイコフスキーはロシアではホモセクシュアルであることは秘匿されてきたこと、そして結婚生活の破綻は全て狂った妻が悪いとされてきたことが述べられている。つまり、本作品はアントニーナの視点からチャイコフスキーを見ることで、彼の伝説を解体しながら、努めて中立に描くことでアントニーナ悪女伝説も一緒に解体しているのだ。そう考えると、悪女伝説そのものが"〇〇の妻"というレッテルの影に隠されたから誕生したものと言えるわけだし、アントニーナの狂気的な恋慕が持続したのは別の原因が考えられそうだ。

劇中で、チャイコフスキーの友人ニコライの家に行ったアントニーナはこんな言葉を掛けられる。"天才は何をしても許される"と。それに対して彼女は"彼ほどの人はそんな卑劣なことをしない"と応える。ここから分かるのは、彼女が愛していたのは彼女の内側で作られた偽物のチャイコフスキーであり、冒頭で登場した"フランス語を操る洗練された天才"という偶像を延々と信じ続けていたということ、つまり恋慕に核などないということだ。数少ない事実から作り上げた本物らしい偽物という存在はサンゴのネックレスという形で画面に登場し、彼女の思うチャイコフスキー像との齟齬=バグは文字通りバグ=ハエとして映画に登場する。ちなみに、ハエの登場シーンは初対面、写真スタジオ、三行半手紙の読み上げなど、チャイコフスキーの本性が明らかになるシーンばかりで、彼女は後に"邪悪な考えがハエのように…"と語っている。そして、その"天才ならそんなことしない"という凡人の盲信は、"天才なら何やっても許される"という"天才"側の言い分(仮にそれが天才でないとしても)を補強してしまっているわけで、現在でも続くこの盲信は様々な形態で"天才"側に利用されてしまっている。

途中からチャイコフスキーが退場してしまうことも含めて、チャイコフスキーじゃなくても成立する空洞感は、"天才"と"凡人"との、或いは本物と心の中の偽物との本来の距離をも感じさせ、正に監督の意図したところだと思うが、逆にチャイコフスキーではないと成立しないテーマとして登場するのが、彼がホモセクシュアルであることだ。印象的なラストでは、彼女が持っていたかった"愛の炎"としてのオイルランプを上裸の屈強な男たちが持って、彼女の行く手を阻むという、正しくアントニーナの頭の中を具現化したような状態になっていた。このシーンはイエジー・スコリモフスキ『春の水』のラストにも似ていて(あっちはペスト、こっちはコレラ)、『インフル病みのペトロフ家』みたいなマジックが炸裂していた。
Sota

Sotaの感想・評価

4.5
2022 123本目

京都ヒストリカ映画祭にて

映画祭最大の目玉は本作、キリルセレブレンニコフ監督の「チャイコフスキーの妻」
招待券を頂いていたのでそりゃもう観に行くしかないと予定を全調節でたどり着きました。

レビューは日本公開してから書くわね

*どうやらミモザフィルムズが購入したらしく、日本での公開が待ち遠しいわね

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