とり

CUBEのとりのネタバレレビュー・内容・結末

CUBE(1997年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

低予算映画の傑作!と立方体の中心で叫びたい作品。
万人にお勧めできる映画ではないけど、それでもお勧めしたくなってしまう。

この一作目の素晴らしいところは観た人のほとんどが同じ感想を持つと思うのだけど、やっぱり必要最低限のストーリーと芸術的な演出。
監督が本物の天才かどうかは他の作品を含め長い目で見なくてはわかりませんが、この映画ではまぎれもなく天才。
「市民ケーン」で衝撃の監督・主演デビューを果たしたオーソン・ウェルズにも引けを取らない、というのは言いすぎでしょうかね。

いきなり衝撃シーンのオープニングですが、これは単なるグロ趣味だとか奇抜さを狙ったものではないと思います。
エンディングまでずーーーーっと、この冒頭のシーンが観てる側の心理に影響し続けるよう計算されたものでしょう。
結果としてその後の本編で、キューブ内の仕掛けが原因で死ぬ人はいないところを見ても、このオープニングの効果は計り知れないものがあります。

全てが四角い謎の箱の中で起こる密室劇ですが、この閉塞感と途方もない不安を感じさせる手法は他の映画ではなかなかないです。
脚本も監督が書いてるらしいですが、演出とあわせて観客への見せ方に特化した才能があるというか、計算がものすごく感じられます。
実際計算とは言っても、鑑賞中はそんなこと考える暇もないというか心の余裕がありませんけど。

ラストは人によってハッピーエンドだったりバッドエンドだったり、色んな捉え方ができるのではないかと思います。
観終わった後に「なんで?」とか「結局?」なんて頭の中がいっぱいになるかもしれませんが、きっと答えは出ないと思います。
他の人に「なんでなんで?」なんて聞くのも野暮。多分聞かれた側もわからない。
そもそも1人でひっそりと観てこそ楽しめる映画だと思います。
続編である程度の答えは出されてるんですが、私はあれが1の答えであったとは思いません。
謎は謎のまま、いつまでもそこにあり続けて欲しいなあと思います。

DVD同梱の短編エレベイテッドもすごーく良かった。
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