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逆転のトライアングルのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

語るべき要素が多すぎてどこから触れたら良いのかわからないのだが、ひとつ言えるとしたら本作を観る前後に食事をする予定や、座席に食べ物を持ち込むのはやめたほうが良いということだろうか。本当に自分も船酔いになった心地がするから、これから観る人にはくれぐれも気をつけてほしい。

物語の入り、第1章はごく自然な男女の諍いから。彼よりも稼いでいる彼女。食事代をどちらが支払うのか。うーん、難しい。

第2章はクルーズ船を世界の縮図と見立て、年齢も、人種も、性別も、何もかも、世界には本当にいろんな要素を持った人たちがいることを明らかにし、それとは矛盾した世の中のトライアングルを炙り出していく。

そして第3章でそのトライアングルが逆転。この逆転したトライアングルをもう一度逆転して、現実世界に当てはめてみると、案外身近にある格差が思い出されて、心が苦しくなる。

ラストシーン。もうこれはどちらが殺されることでしか物語は終わらないと思っていたら、予想通りそのような展開を迎えたのだが、まさかそちら側から、、。

トライアングルが逆転してからの展開が丁寧で、最後、T.U.していくヤヤへとアップで写されたアヴィゲイルとのカットバックが、とんでもない緊張感を生み出していた。本作はまさにこの一連のショットのために作られていたのではないかと。

こういう映画、好きな気もするし、苦手なような気もする。心にザワザワした感触が残っているのは、果たしてなぜだろうか。
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